退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

厳しいチェックでやる気を高める

子どもたちが漢字ドリルに書き込みをして、教師に見せにきました。
さあ、これをどのように評価するか。
その基準の設定は初任者にとって難しいところです。
少し間違いがあっても、字のバランスがとれていなくても、その子が一生懸命に書いたものだから、と考えることがあるかもしれません。
厳しい指導よりやさしい注意の方がいいのでしょうか。
しかし、よくあることは、本当はもっとできるのに、その力を十分に発揮させていないということです。
めざすべきは、教師は厳しく細かいチェックをしているのに、子どもたちは逆に奮起して、明るく何度もチャレンジを繰り返しているという状態です。

厳しくチェックすることで、子どもたちのやる気に火をつけて、休み時間や給食準備時間にまで、「先生、見て下さい!」と言われるようになることを目指しましょう。
教師にドリルを差し出すときの作法(向き)、なぞり書きは少しもはみ出ていないか、雑なところはないか、とめ・はね・はらいは正しいか(敢えて)、字が薄くないか、小さくないか、はみ出していないか、長短のバランスなど、徹底的にチェックします。
それができていたら、一つ漢字を選んで「空書き」で書き順をチェックします。
その声も動きもはっきりしていなければ合格にはなりません。
できないときは励ましたり、それまでの努力を認める声かけをしたり、何よりも明るい雰囲気になるよう心がけましょう。
そして、合格したときは一緒に喜び、大いにほめてあげるのです。
チェックを甘くするのではなく、厳しくすることでやる気を高めるようにしましょう。
子どもの意欲を高めるには、学習に挑戦的な部分が必要です。

脳科学の専門用語に「偶有性」という言葉があります。
この偶有性とは、セキュア(予想できること)とチャレンジング(新しいこと)のバランスがとれている状態です。
勉強では、セキュアがチャレンジングより大きい状態、つまり、簡単に解ける問題ばかりだと、単調な作業のように思えてくるのであきてしまいます。
反対に、チャレンジングがセキュアより大きい状態、あまりに難しすぎると、どこから手をつければよいのか分からなくなり、嫌になってしまいます。
だから、授業では子どもの反応を見極めながら、この両者のバランスをとることが大切です。


参考文献「クラス全員が熱心に取り組む!漢字指導法 学習活動アイデア&指導技術」土居正博著 明治図書出版  「脳を活かす勉強法 奇跡の『強化学習』」茂木健一郎著 PHP研究所