退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

2020-01-01から1年間の記事一覧

「開高健は何をどう読み血肉としたか」菊池治男著

今日は大晦日。 パンデミックの1年、2020年もとうとう終わります。 しかし、この息苦しさはいつまで続くのでしょう。 これから今年最後の夕食の鶏鍋をつつきながら、家族で紅白歌合戦を見ます。 普段はテレビをほとんど見ないので、ここではじめて流行った歌…

「こどもホスピスの奇跡」石井光太

昨日12月25日、福岡市の小学校では終業式が行われました。今日から冬休みです。しかし、12月15日以降は20日を除いて連日、新型コロナウイルス感染症の患者発生による福岡市小中学校の休校措置が続いていました。このウイルスの終息は残念ながらまだまだ先の…

「料理大好き小学生がフランスの台所で教わったこと」 ケイタ著

先日、フライパンを買いにイオンへ行って驚きました。 売っているのはすべて何とか加工のフライパンばかり、何も加工していないものはなかったのです。私がほしいのは普通の鉄のフライパンです。 何とか加工のフライパンは、使いはじめは焦げがつかないで便…

クリスマスの思い出 トルーマン・カポーティ作 村上春樹訳

私が担当している小学校は、2学期制のところと3学期制のところがあります。2学期制の学校は12月25日の終業式に向けて、通信表の作成を始めています。教師たちは夜遅くまで、休日も仕事しています。世界の他の国と比較して、日本の教師は忙し過ぎます。しかし…

「ソルハ」 帚木蓬生 あかね書房

全国的に新型コロナウイルス感染者が増加しています。福岡市でも小学校で教員や子どもの感染が確認されて、対策の徹底が行われています。常に換気をよくするために窓を開けているので、教室も職員室も寒いです。来年の冬までには沈静化しているといいのです…

「漢字指導の新常識」 土居正博 

「漢字指導の新常識」 土居正博 学陽書房 漢字の指導は時間をかけている割には効果が上がっていないことが多い。宿題として、「ノートに2ページ書いてきなさい」などと言われて練習しているが、このような機械的で単調な作業は、子どもにとって苦痛でしかな…

「サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する」梯(かけはし)久美子 

なぜサハリン(樺太)に惹かれるのだろう? 多くの人が集まる華やかな場所ではなく、地図の上でも歴史の流れの中でも、片隅にあるものが気になる。 私が今いちばん気になるのがサハリン。 宮沢賢治はこの地をサガレンと呼んだ。 ロシアにとっては遥か極東の…

「人間の土地へ」小松由佳著

「人間の土地へ」小松由佳著 集英社インターナショナル 著者の小松由佳さんは、2006年に日本人女性として初めてK2に登頂した。K2は世界第2の高峰。登山者の25パーセント、4人に一人が命を落とすという世界で最も困難な山である。小松さんはK2山頂に到達…

グーグルネストWi-Fiルーター

先週は給食を食べながらM先生からグルメ情報を伺いました。 小笹においしい韓国料理の店があることを教えてもらっていたとき、隣で聞いていた英語専科のT先生が「私、そこに行ったことがあります!」と店の様子を教えてくれました。 そこでT先生たちが食べた…

『熱源』川越 宗一

今日は本の紹介です。近頃、ビジネス書やノンフィクションばかり読んでいたのですが、やっぱり小説はいいですね。しかし、つい夜更かししてしまって眠る時間が少なくなるのがつらいです。 『熱源』川越 宗一 職員室で給食を食べながら司書の先生と話していた…

映画「若草物語」

「若草物語」を見ました。何度も映画化されていますが、今回見たのは1949年版です。 最近、1940~50年代の古いハリウッド映画をよく見ます。昔一度見たことがあるものも多いのですが、この年になって見ると新たな発見があります。 長女のメグ役はジャネット…

「武漢日記」 方方(ファンファン) 

「武漢日記」 方方(ファンファン) 河出書房新社 武漢が新型コロナウイルスのため封鎖されていた期間、女性作家がブログを通して、そこで起きたこと考えたことを発信し続けた。文章に熱があり、読者を引きつける。このような非常時には人々の善意と悪意が表…

3年理科「地面のようすと太陽」

理科「地面のようすと太陽」(2/9)を参観しました。 1時間目に外で影踏み遊びをして、2時間目はそのとき気がついたことを書き出すところから始まりました。「しゃがんだら影も小さくなった」「影は太陽と反対にできる」「体を動かすと影の向きが変わる」…

「超」勉強力 

「超」勉強力 中野信子 山口真由 プレジデント社 オンラインの英語学習を続けている。もう1年以上、200回を超えた。毎日はできないが、週に数回は必ず受講するようにしている。続けている理由は楽しいから。その楽しさについて考えてみた。 レッスンの教材は…

「ユージン・スミス 楽園へのあゆみ」土方正志

なぜユージン・スミスに惹かれるのか。 水俣とユージンの名は、小さい頃から何度も耳にしている。 水俣がある熊本は私が育った福岡のとなり。 日本の公害、そして水俣がニュースになった1960年代から70年代にかけては私が小学校から中学校へ進む時期と重なる…

2年生 道徳科「あいさつがきらいな王さま」  

共に学ぶ姿勢を示す 道徳科「あいさつがきらいな王さま」を参観しました。 道徳は、表面的で形式的な学習になりがちです。 そうならないようにするためには、「教師が子どもと一緒に学んでいる」という姿勢を示すことが大事です。 「先生も明るい挨拶ができ…

道徳「心の優先席」

1 自分で気づかせること 道徳「心の優先席」を参観しました。導入では優先席の写真を見せて、子どもたちを引きつけ関心を高めていました。「優先席は誰のためにあるの?」と問いかけると、「お腹に赤ちゃんがいる人のためです」「足が不自由な人です」「お…

「猫を棄てる」村上春樹 文藝春秋

村上春樹に対して、私は少し年上の兄のように感じるところがあった。 村上さんの父親は戦争に行った世代だが、私の父は出征直前に終戦を迎えた。 この本は村上さんと父親との最後の交流の場面がある。 そのとき村上さん60代、父は90代。それは現在の私と父の…

「村上T」村上春樹 マガジンハウス

4年前に初めてブロードウェイでミュージカルを見た。 ウェブでチケットを買ったので、それ以来定期的に新作のお知らせが届く。 ブルース・スプリングスティーンの公演のお知らせが来たときは驚いた。 彼の生涯がミュージカルになったのかと思ったら、どうも…

「ワイルドサイドをほっつき歩け」ブレイディみかこ 筑摩書房

みかこさんたちは友人夫婦とジャズフェスティバルに出かける。 太りすぎていて膝に痛みをもつ友人は車いすを夫人から押してもらっている。 フェスに来ている客から、太りすぎで動けなくなっていると思われた友人は冷たい視線を受ける。 しかし、みかこさんの…

2年生 算数 たし算のひっ算

算数の授業を見ました。 今日のめあては「32+4をひっ算で計算しましょう」です。 教師は十の位の数と一の位の数を縦に揃えてたす方法を提示しました。 意外な展開に子どもたちは驚き、引き付けられていました。 「どこが間違っているのか誰か教えて下さ…

コロナの時代の僕ら

「現代のパラドックスがここにある。現実がますます複雑化していくのに対し、僕らはその複雑さに対してますます無関心になってきているのだ」 「ウイルスは、細菌に菌類、原生動物と並び、環境破壊が生んだ多くの難民の一部だ。自己中心的な世界観を少しでも…

精神的不調は身を忙しくして治す

「老活の愉しみ 心と体を100歳まで活躍させる」帚木蓬生 朝日出版社 何もすることがないといろんな事が思い出されます。そんなときに頭に浮かぶのは、これまでの失敗や間違いばかりなのはどうしてでしょう。気をつけなくてはいけません。悩みや不安は脳を傷…

「13歳からのアート思考」末永幸歩著

現行の学習指導要領の中でも思考力の重要性が述べられています。思考力の育成は、教育課題として長年にわたって指摘されています。それにもかかわらず今も課題となっているのは、思考力を身につけさせるのが難しいからでしょう。思考力がどういうものなのか…

初任者研修資料 指導略案作成について

すべての基本は学習指導要領にあります。この問題(発問、活動)にはこのような意図がある、と説明できなければいけません。その根拠となるのが学習指導要領です。「学習指導要領」の内容は抽象的です。「学習指導要領解説」では少し具体的になっています。…

書く力と集中力を同時に高める

多くの人が作文は苦手、と言います。自分はよい文章を書けない、と思っている人がたくさんいます。これは、国語の授業で作文を書いたときに、よい思い出がないことが原因かもしれません。そのような、子どもを作文嫌いにしてしまう国語の授業は残念ながらま…

対話力の第一歩は「続けること」

教師が子どもたちに一方的に説明するだけの授業ではなく、子どもたちが自ら学ぶスタイルの授業への転換が求められています。子どもたちが主体となって学ぶための基礎となるのが「対話」です。日々の授業の中に対話を取り入れるにはどうすればいいのでしょう…

厳しいチェックでやる気を高める

子どもたちが漢字ドリルに書き込みをして、教師に見せにきました。さあ、これをどのように評価するか。その基準の設定は初任者にとって難しいところです。少し間違いがあっても、字のバランスがとれていなくても、その子が一生懸命に書いたものだから、と考…

音読でしっかり声を出させる

なぜ音読の指導が大切なのでしょう。はっきり言えることは、音読ができなければ文章の詳しい読み取りはできないということです。文章の意味が分かっているかどうかは、音読させたら分かります。どこで切るのか、どこを強調するのか、それができる子は文章の…

ショックを与える「聞くこと」の指導

小学校の「話すこと」「聞くこと」の指導では、まず「聞くこと」の指導に重点を置きます。小学生、とくに低学年は「聞くこと」がほとんどできません。自分のことを一方的に話して、相手の話を聞こうとしない子がたくさんいます。それを単に「しっかり聞きま…