退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

わすれられないおくりもの

「4321」(ポール・オースター著、 柴田元幸 翻訳)を読んでいます。昨年末から「ビリーサマーズ」「パチンコ」と長編小説を読んできて、やはり小説は長い方が面白さも大きい、と感じてこの本を選びました。800ページ88万字。手に持って読めば筋ト…

「パチンコ」ミン・ジン・リー (著), 池田 真紀子 (翻訳)、文春文庫

「ビリー・サマーズ」(スティーヴン・キング著, 白石 朗 翻訳)で長編小説を読む楽しさを再認識したので、そのままこの「パチンコ」に没入しました。正月休みを利用して文庫本で上下700ページを一気に読み終えました。物語は日韓併合下の釜山沖の小さな島…

かなしみ

谷川俊太郎さんが亡くなられました。 40年の教員生活の節目で私はいつも谷川さんの詩を読んできました。 「ネロ」の詩を紹介したのはまだ私が20代の頃。クラスで一番明るく元気な女の子が涙を流していたことを覚えています。死んだばかりの愛犬を思い出さ…

「百年の手紙 日本人が遺したことば」梯 久美子著 岩波新書

11月8日に勤務校の体育会が終わりました。 11月2日に実施の予定が雨のため延期になっていたものです。 1年生の子どもたちのモチベーションはピークを過ぎていて、前日のリハーサルは散々でした。 当日はどうなることかと心配でしたが今までで一番のダンスを…

パレスチナの青空

「中学生から知りたいパレスチナのこと」(岡真理、小川哲、藤原辰史著)を読みました。 子どもの頃に見ていた西部劇では、騎兵隊は正義の味方、インディアンは悪者でした。 中学生のときに見た映画「小さな巨人」は、インディアンの視点から描かれた西部劇…

スティーブンキングを読んだら村上春樹につながってしまった話

あおぞらブルワリー博多店屋町 2024年10月18日 スティーブンキングはずっと気になっていた作家です。 シャイニング、スタンドバイミー、ショーシャンクの空に、ITなどなど。 世界で最も成功している小説家。多くの作品が映像化されています。 しかし、人気が…

サンショウウオの四十九日

アップルミュージックを10年くらい聞き続けています。「お気に入り」のプレイリストは「ジャズの潮流」。ここでは現代ジャズを聴くことができます。古いジャズも大好きです。しかし、最も気になるのは何か今までのとは違う表現を求めているミュージシャンた…

ポリフォニーを志向する研究書

「村上春樹研究 サンプリング、翻訳、アダプテーション、批評、研究の世界文学」(横道誠著)を読みました。村上春樹をめぐる批評について私が読んできたものを振り返ると、1980年代には川本三郎さんの本を愛読していました。川本さんの「同時代を生きる…

足元の歴史から未来を思い描く

「戦争ミュージアム 記憶の回廊をつなぐ」(梯久美子著)を読みました。 これは、日本各地の平和のための博物館を訪ねた記録です。 紹介されているのは以下の施設です。(目次から) 大久島毒ガス資料館 毒ガス使用の知られざる歴史 予科練平和記念館 大空に…

「想定外」が問いを深める

大濠公園ロイヤルガーデンカフェ 2024年6月 1年生の学級担任の休みが続いています。校長先生から1年生の担任をしてほしいという依頼を受けました。家に帰って家族に相談すると、妻から反対されました。無理をして体調を崩すことを心配しているようで…

未知なものを身近なものに 身近なものを未知なものに

参観日の前日に校長先生から相談を受けました。休みが続いている1年生担任の代わりに参観の授業をしてほしいという依頼でした。私が専科教員として担当しているのは3~5年なので、どうして私なのだろう、と驚きました。しかし、事情については察しがついた…

だからあれほど言ったのに

先週は娘の誕生日で博多駅のレストランを予約していました。家族全員の予定を合わせるのは難しく、やっと決めることができたのが11日土曜日の昼。その日は午前に歯科の予約があったが大丈夫だろうと思っていました。しかし治療は予想以上に時間がかかったう…

三島由紀夫と遠藤周作

遠藤周作文学館 連休は長崎の遠藤周作文学館へ。 読書会の友人が「深い河」について何度も熱心に語っていた。 長崎市内からバスに乗って約1時間。 海に面した最高の場所。 美しい夕日を見ることもできる。 裏切った人間にも救いはあるのだろうか。 神の沈黙…

世界は経営でできている

先週は3年生の理科の授業をした。自然の生きものを観察に行って困ったのは名前が分からない花があること。調べてみると、スマートフォンのカメラで撮影すれば花の名前を教えてくれるアプリがあった。便利な道具ができたものです。 「世界は経営でできている…

日台万華鏡

来年度から働く学校は決まっていました。 しかし、勤務校へ挨拶に行って打ち合わせまでしていたのに変わりました。 教育委員会も教員不足の中、人員確保に大変なことは分かっているので文句は言えません。 この4月から再任用8年目です。 小学校の外国語専科…

「恋の帰結」ブレイディみかこ

白内障の手術をした。数日休んで学校へ行くと廊下の掲示板が変わっていたので驚いた。それは1年生から6年生までの行事の様子を並べた写真。「きれいな写真だなあ! よく撮れているじゃないか…」もう一度よく見ると、前と同じ写真だ…。 映画「パーフェクトデ…

伊福部昭と橋本忍

誕生日にプラネタリウムをもらった。今年の1年次教員たちからのプレゼント。「テーマは癒しです」と説明してくれた。そんなに癒されていないように見えるのかなあ? まあ疲れているようには見えるだろうけど。セットでいただいたのは、ミッフィーの仲間のボ…

「モトムラタツヒコの読書の絵日記」書肆侃侃房

今朝は大濠公園のロイヤルカフェで妻とブランチ。 先日見た映画「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」の感想について話した。 ネイティブ・アメリカンの悲しすぎる歴史。 マーチン・スコセッシ監督、ロビー・ロバートソン音楽。 情けないチンピラのディカ…

「映画の木漏れ日」川本三郎著

私が働いている学校でも大谷選手のグローブが大きな話題になっています。 1年生の教室では、先生が子どもたちに説明していますが、よく伝わっていない様子です。 「もうすぐ大谷選手のグローブがきます」 「大谷選手が来るんですか?」 「違います。大谷選手…

「その世とこの世」(谷川俊太郎 ブレイディみかこ著 奥村門土絵)岩波書店

母を亡くしたブレイディさんは旅に出た。 目的地はウイーン。 ヨーロッパの古都でエゴン・シーレを観る。 そこで、見知らぬ老人からヒットラーをめぐるウオーキングツアーを勧められる。 この有名な独裁者はウイーンの美術学校の入学試験に失敗した。 同時期…

風景をつくるごはん

「風景をつくるごはん」(真田純子著)を読みました。自分の食生活を振り返ると、「旬のものを食べる方がいい」とは思いながら、「食べたいもの食べたいときに食べる」生活になっています。しかし、自分が農村に行ったときには、「ビニルハウスが多い風景に…

竹内まりやから小泉八雲へ

信じられない速さで 時は過ぎ去ると 知ってしまったら どんな小さなことも 覚えていたいと 心が言ったよ 「人生の扉」竹内まりや 竹野屋 出雲に行ってきました。竹内まりやの実家の旅館が出雲にあると聞いたことがあったので、宿はそこにしました。竹野屋は…

語学の天才まで一億光年

雷山 千如寺 今日は、雷山の千如寺で紅葉を楽しんだ後、糸島茶房でランチをいただきました。 糸島茶房 「語学の天才まで一億光年」高野秀行著 言葉とは何でしょう。人は言葉で思考します。言葉は伝達の機能もあります。それだけではなく、言葉は文化そのもの…

「幸福人フー」坂口恭平著

これは坂口さんが幸福とは何かを書いた本。坂口さんが人生ではじめて会った幸福な人が奥さんのフーちゃん。だからこの本は坂口さんが幸福について研究するため、フーちゃんにインタビューした内容になっています。 坂口さんは躁鬱病で、鬱の時は暗く不安で自…

愛と絶望のコリア記

今日は国語研究会の先輩K先生のコンサート。会場はアクロス福岡シンフォニーホールです。プログラムはヘンデルのメサイア。喜びと悲しみ、光と影、ヘンデルの世界へ深く引き込まれました。ハレルヤ。 「愛と絶望のコリア記 地方記者が見つめ続けた韓国」藤井…

子どもの言葉から「言語の進化」を考えた

連休初日は大濠公園のロイヤルガーデンカフェでブランチ。 ここは本当に居心地のよいカフェです。 湖面をすべる巨大な「白鳥」を見ながらコーヒーをいただきました。 夜は久しぶりの「中州ジャズ」。川沿いのオープンステージで山本剛トリオの「ミスティ」が…

「季節のない街」 山本周五郎著

学生の頃、黒澤明監督の「どですかでん」という映画を観ました。黒澤監督が不遇の時代の作品です。少数者への共感が描かれている、と感じたのはそんな監督自身の境遇と重ねて見たからなのかもしれません。その原作がこの小説です。 そしてこの夏には、「季節…

「なぜ豊岡は世界に注目されるのか」中貝宗治著

昨日は箱崎のブックスキューブリックのイベントに行きました。 イベント後の懇親会では、モトムラタツヒコさんやキューブリック店主の大井実さんとお話できました。 本や音楽、映画を通して自分を語り、相手を知る。読書は人生を豊かにすると確認できました…

「鍋の中」村田喜代子

金曜日は1学期の終業式でした。1年生の教室では先生が子どもたちに話をしていました。「明日から夏休みです」「えー、まだ学校に行きたかった!」と、1年らしい反応です。その後も子どもたちから質問が続出します。「今度は2年生ですか?」「まだ1年生です」…

あの頃、渡辺貞夫と

土曜日のお昼は香住ヶ丘の「フルフル 風の森店」へ行きました。 私のお気に入りは、2階のロフトのような場所。ステレオセットにアナログプレーヤー、渡辺貞夫のLPレコードが飾ってあります。「How's Everything」は1980年のアルバム。ギターはエリック・ゲイ…