退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

「生きる力 森田正馬15の提言」帚木蓬生

昨日、今年度の「子ども英語教室」が終了しました。子どもたちから手作りの花やお手紙をもらってうれしかったです。さて今日は、大好きな帚木蓬生さんの本の紹介です。

 

「生きる力 森田正馬15の提言」帚木蓬生 朝日新聞出版

この人のライフスタイルを真似したい、と思ったことはありますか?
私は20代の頃に、灰谷健次郎のエッセイをよく読んでいました。
晩年の灰谷さんは沖縄の渡嘉敷島に住み、執筆の合間に海で泳ぐという暮らしでした。理想的ですよね。
村上春樹のライフスタイルにもあこがれました。
朝早く起きて午前中は小説の執筆(とにかく毎日書き続けるという習慣)、午後は翻訳作業(この作業は自分の趣味のようなもので仕事とは感じていないそうです)、ランニングも日課です。そして、夜になったら好きな音楽を聴いてゆっくり食事をとり、早く寝る。この繰り返しです。何と素晴らしい!
60代になった今、お手本にしたいのが帚木蓬生さんです。
帚木さんは福岡県中間市に住む精神科医師で小説家です。医師としての仕事も続けながら多くの小説を書くその仕事量(1年に1冊のペース)に驚かされますが、そのような生き方をすることで心を充実させているのです。
帚木さんの考えの基盤になっているのが森田正馬です。
森田は明治7年生まれの精神科医、医学者です。森田は神経症の治療と研究を一生涯続けました。その治療法は普通人のメンタルヘルスにも活用できるものです。
その一つの例が、不安や心配事を解消させるために安静にするのではなく、逆に多くの活動をこなすことと消し去ってしまうという方法です。
これに共感したのは自分もそういう経験があるからです。30代の頃に心配事で心が不安定になったときがありました。そのときに、自分からたくさんの仕事を引きうけて作業に気持ちを集中させることで心配が消えていったのです。それ以来、仕事に対する考えが変わりました。それだけでなく、日々の様々な出来事を前向きにとらえることができるようになりました。この本を読んで、その心の動きが分かりました。

悩みや心配は、5分以上頭の中でひねくりまわしてはいけません。5分たったら、身体を動かし、何でもいいですから、手を出すのが一番です。
身を忙しくしていると、脳はもう悩みません。忙しくしている目前の事柄に注意を向けなければならないので、脳は忙しくなり、悩んでおられなくなります。
忙しくしているうちに、心配の種は自然に尽きるか、良い方向に向いているはずです。仕方ない、いつか良い方向に向かうと信じて、生きていくしかありません。

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