退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

憲法記念日と「その女、ジルバ」  

 こんにちは。どこへも行けない大型連休がも半分終わろうとしています。ブルームバーグという米国の大手総合情報サービス会社が、ワクチンが人口の75%に行き渡り、ある程度の集団免疫に達するまでの期間についての試算を発表(4月28日)しました。アメリカはあと3カ月、ドイツ6カ月、韓国21カ月、オーストラリアは2.2年。日本はなんと3.8年!どうしてこんなことになってしまったのでしょう…。

 

先週の金曜日、3年生の教室で憲法記念日の学習を見ました。

国民主権、平和主義、基本的人権の尊重、教師はこの3原則を子どもたちにわかるようにやさしい言葉に置き換えて説明していました。

説明を聞きながら思い出したのが「その女、ジルバ」のことでした。

「その女、ジルバ」(有間しのぶ)は、手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞の笑って泣ける傑作マンガです。

この作品は、人生に希望をなくしかけた40歳の女性主人公が、平均年齢70歳という高齢ホステスたちのバーで働き始めてから、少しずつ生きる喜びを取り戻すというお話です。

バーの先輩たちの話を聞くうちに主人公は戦中戦後の日本について、ブラジル移民の実態について、知ることになります。

私はブラジル移民について少しは聞いたことはありますが、その実態を知って驚きました。

日本政府と移民会社は「南米は楽園」と宣伝して多くの日本人をブラジルに送り出しました。

しかし、そこに待っていたのはあまりにも厳しい現実です。

作家の高橋源一郎さんは、この物語について次のように語っていました。

「日本は彼らのことをすっかり忘れているけれど、出ていった彼らの方は日本を忘れなかった、これがこの物語の一番大きいテーマになっています」

日本政府に見捨てられても日本を愛そうとする移民たちの姿に心を打たれます。

希望に燃えてブラジルへ渡ったのは、沖縄、広島、福島の人が多かったというのも悲しい事実です。

3年生の教室では「基本的人権の尊重というのは、一人ひとりを大切にすることです」と担任が熱心に解説していました。

この子どもたちが、弱い立場の人たちの声を聞くことができる人になってほしい、と心の中でつぶやきました。