退職教員の実践アウトプット生活

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「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。」和田靜香著 取材協力 小川淳也

「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。」和田靜香著 取材協力 小川淳也 左右社

 

社会問題や政治について語るときには気をつかいます。

人と話すときに政治の話題になると、相手に合わせて言葉を慎重に選んでいる自分がいます。

国全体にもそんな空気が広がっていて、政治の話は避けている雰囲気があります。

しかし、その結果、人々の政治への関心は低くなり、投票率も低いままです。

前に紹介した工藤勇一さんと鴻上尚史さんの対話を思い出しました。

 

工藤 つい先日、政府の教育再生実行会議において、私は日本財団が2019年に実施した「国や社会に対する意識」調査の結果を使って日本の教育の最大の課題について主張しました。これは世界9か国、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカ、ドイツ、日本の17~19歳各1000人の若者を対象に国や社会に対する意識を聞いたものです。これが日本全体の若者の姿を象徴する数字だとすれば、すさまじい現状です。「自分で国や社会を変えられると思う」18.3%。「自分の国に解決したい社会課題がある」46.4%。「自分は責任ある社会の一員である」44.8%。いずれの数値も他国の半分程度です。すべての項目において最下位。惨憺たる結果です。

鴻上 愕然としますね。そもそも「自分を大人だと思う」と考えている人が29%。他国はほとんど70~80%を示していますね。(「学校ってなんだ! 日本の教育はなぜ息苦しいのか」より)

 

この結果は日本の大人たちの意識を反映したものでしょう。

政治や社会問題について語る文化が日本にはもっと必要です。

これは政治の専門家ではない人(和田さんは相撲・音楽ライター)が書いた本です。

自分が困っていること、賃金、住居、老後などの問題について政治家と対話を重ねていきます。

私はこの対話を読んで、税金と財政についての認識が変わりました。

二人の「でこぼこ」の対話には笑わされ、泣かされます。

このようにして、私たちと政治との関係が再生するのかもしれません。

 

 そうだ。私は私の視点でやるしかない。私の人生に則った、私の生活から政治を書く、それしかやれない。プロのジャーナリストや新聞記者は公のものとして政治を書く。私は逆だ。私の物語として政治を語る。怒りも悲しみも、手探りしていく様子も、正直に書く。

 それで、ふと思った。それぞれの人が、自分の物語としての政治を語れたら? 日常のあれこれ織り込んだ私の物語として政治を語ることがあたりまえになったら、もっと多くの人が、どんどん自由に政治が語れ、関心が高まり、深まるのかも?(本書210ページ 「私が政治を語っていいのか」より)

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