退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

学校は会社ではない! 内田樹著「複雑化の教育論」東洋館出版社

先週の金曜日にメールがありました。

私が担当するY先生のクラスが、月曜から再び学級閉鎖。

学級閉鎖の数があまりにも多いので、閉鎖の基準は改定されることになりそうです。

 

学校は会社ではない! 内田樹著「複雑化の教育論」東洋館出版社

 

この四半世紀の間に、日本人の知性の発現が制度的に抑圧されている。もちろん潜在的には知性は豊かにあるんです。でも、それを発動できないでいる。

 最大の理由は「話を簡単にする人が賢い人だ」というデタラメをいつの間にかみんなが信じ始めたからです。話を簡単にして、問題をシンプルな「真か偽か」「正義か邪悪か」「敵か味方か」に切り分けて、二項の片方を叩き潰したらすべての問題は解決する…というスキームをみんなが信じ始めた。すべてを二項対立スキームに流し込んで、一刀両断する「スマート」な知性が過大評価される一方で、世の中は複雑であるということを認めて、その複雑な絡み合いを一つ一つ根気よくほぐしてゆこうとする忍耐づよい知性には誰も見向きもしなくなった。みんなが「スマート」になろうと、「話を簡単にしよう」と必死に努力を重ねてきて、その結果、国民的スケールで知性の衰えを招いてしまった。(本書52ページ「教育において最優先すべき知的資質」より)

 

20年ほど前の出来事を思い出します。

管理職の研修会に若い指導主事が来て講話をしました。

「これからの学校は企業の経営手法を取り入れていかないといけません。PDCAのサイクルの中には顧客満足度の評価も入れます。」

そのときに、大先輩の校長先生が強く反論しました。

「何を言っているんだ。保護者や子どもはお客ですか?学校は会社ではない!」

評価、競争、効率化などが必要なこともあるでしょう。しかし、それを強調しすぎると道を誤ります。

 

上位者の命令に絶対に逆らわない人間ばかりで埋め尽くされた組織は、たしかに一見すると効率的に運営されているように見えます。トップの指示が遅滞なく末端までぱっと伝わって、たちまち実現されるんですから。でも、シリアスな問題があります。それはトップが判断を間違えて、有害無益な指示を出した場合でも、「それはダメです」という人間が一人もいなくなるということです。(本書132ページ「無意味なタスクにならされて」より)

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