信頼している土居正博先生の紹介でこの本を知りました。BBQ型学級経営とは参加型の学級経営のことです。学校教育や授業に保護者の参加を促せばどんな良いことが起きるのでしょうか?この本はそんな学級経営に取り組んだ渡辺先生の実践記録です。
現在の学校現場では、学校と家庭の分断が進んでいます。保護者から学校や教師へのクレームはめずらしいことではなくなりました。教師と保護者は互いに気をつかい過ぎているように感じます。筆者は学校が直面している課題を以下のようにキーワード化しています。
閉ざされた学校
奪われた憩いや遊び
蔓延るゼロリスク信仰
行き過ぎた除菌教育
学校教育のインスタント化
面白味や多様性の消失
当事者意識の希薄化
お客様意識とクレームの激化
サービス提供者への苛烈な要求
お互いを恐れ合う学校と家庭
これらの課題は、授業や学級経営をもっと子どもや保護者に「開く」ことによって解決できるのかもしれません。参加型学級経営では、教師と保護者はお互いの強みを生かすことができます。子どもと教師と保護者、それぞれが喜びと達成感を得ることができる方法です。
渡辺先生は、「参観授業をみせるだけでは終わらせない」と宣言しています。授業参観を「成長をハッキリ見せられるポイントを作る」「授業そのものを参加型にする」ように設計します。ここで紹介されているのが「オムニバス授業」です。いくつかの教科やユニットを組み合わせて行う授業のことです。例えば、国語「名詩名文の暗唱」、算数「ドット図の難問」、社会「日本の産業構造」、図工「絵画の鑑賞」、道徳「星野富弘さんの生き方」などを1時間の授業の中に短いユニットとして組み入れて行います。これは一つの教科や内容に絞っていないので、多彩な学習活動が可能になります。子どもたち活動の幅は広がり、成長や活躍を見せられるチャンスは増えます。
本書には、学級通信への保護者のフィードバックを増やした取り組み、子どもたちのイベントを成功させた事例、全国の教師から寄せられた参加型学級経営の実践例などが紹介されています。「BBQ型学級経営」は、現代の学校が抱えている課題を解決するためのヒントが満載の本です。