退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

「教育書の生かし方」松村英治著 東洋館出版

この本は小学校教師の著者が今までに読んだ本(1500冊)から「私の考えや実践を創ったり変えたりしたきっかけを与えてくれた教育書」の22冊を選んで紹介した本です。

「読書をどのように実践に生かすのか」が語られています。例えば私も「クラス全員が熱心に取り組む! 漢字指導法」(土居正博著)を読みました。これはとてもいい本だと思ったので若い先生方にも勧めています。しかし、読んだことをどのように自分の実践に生かすのか、私は上手に説明できていませんでした。「なるほど、本を読んでもそのすべてを同じように実践する必要はないし、一部をアレンジして取り入れることもできるんだ。」その具体的な実践例を読んで、納得しました。

 

もちろんこの本はブックガイドとしても優れています。今、私は生活科に強い関心を持っているので、「生活科のロマン」(中野重人著)が読みたくなりました。1996年の本で絶版となっていますが、教育センターの図書室にはきっとあるでしょう。このような古い本の価値も再発見できます。まだ読んだことがない本の中にこんなに素晴らしいものあることを知ってうれしくなります。

「教師花伝書」(佐藤学著)は、一度読みました。しかし、私は正直なところその良さが分かりませんでした。松村先生がこの本を「授業を語り合うケースメソッドの金字塔」と紹介してあるのを読んで、「これはもう一度ぜひ読み返さなくては」と思いました。

 

 この本からは、著者である松村先生の人柄が伝わってきます。ニュースでも話題になっていますが、今の教育現場では、疲れ切って意欲を失くしたり、メンタルの不調で休職になったりする教師が増えています。松村先生が仕事や研究について語るときには、そのようなそのような教師も含めた学校の在り方が述べられています。働き方改革やコロナ対策など、今日的課題にも対応した教育について考察を深めています。この本は、「教育書を読んでそれを実践に生かしたい」と思う全ての教師におすすめの本です。