退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

「聞く技術 聞いてもらう技術」東畑 開人著 ちくま新書

私の今の仕事は若い教師たちに授業のアドバイスをすることです。授業に関することが中心ですが、学級づくりや保護者対応などについて相談を受けることもあります。だから、「もっと上手に聞きたい」「聞いてもらうにはどうしたらいいのだろう」といつも悩んでいます。この本で紹介されている技術では「沈黙に強くなろう」「返事は短く」で、「そうだなあ」と気づかされました。私は沈黙に耐えられません。相手が話さないと不安になって落ち着かなくなります。相手から何か聞かれると、とりあえず返事をしてしまいます。でも、違う場合もありますよね。こちらが黙って待つことで相手の言葉を引き出せることもあるでしょう。相手の心の動きを察して時には沈黙の中、じっと待つこともできるようになりたい、と思いました。

 

「聞く」と「聴く」のどちらが難しいとおもいますか?

「聞く」の方が難しい、と東畑さんは述べています。考えてみると、何か目的があって聴くことはできます。しかし、もっと日常にあること、例えば家族との会話、近所の人との立ち話において聞くことができていないことはあると思いました。聞くことは難しいのです。社会の分断について嘆いていたのに、ふと振り返ると自分がやるべきことができていないことに気づきます。

「聞くこと」、「聞いてもらうこと」のサイクルが滑らかに動き始めたとき、「社会」はもっと住みやすくなるのだと気づかされました。