退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

椎名誠は寅さんだった 「失踪願望。」

「シーナ誠を読んでいる」と知人に言ったら3人が3人とも「ああ、この頃死んだ人?」と返してきた。

鮎川誠と間違えないでほしい。

 

「失踪願望。」を読んでいる。椎名誠を読むのは久しぶりだがやはりおもしろい。この本は日記形式でコロナ禍のシーナの日常が描かれている。妻、子、孫、友人たちについて、いつもの「よろこびのビール」的なドタバタ生活が読んでいて心地よい。しかしそれだけではない。

足腰も衰えはじめ、運転免許証を返納したり、白内障の手術をしたり、シーナは老いと向かい合っている。昔を振り返ることも多い。若い頃に、妻である一枝さんの実家の庭に山から掘ってきたモミジの木を植えたこと、同じくテレビをプレゼントしたことなど(後で望まれてなかったことを知る)。今振り返ると、「あれはよくなかった…」と後悔することも心に浮かんでくる。自分もあるなあ。

椎名誠は寅さんの大ファン。このドタバタは「男はつらいよ」に重なる。そういえば、大すきな「岳物語」も山田洋次の風景に近い。この本を読み終わったら、「男はつらいよ」を見よう。