この本の冒頭で、ザ・バーズの「Turn! Turn! Turn!」の歌詞が紹介されている。
生まれる時、死ぬ時
植える時、刈り取る時
殺す時、癒す時
笑う時、泣く時
あらゆる物事には時機があり
天の下、全ての目的にはそれにふさわしい時がある
旧約聖書の「コへレトの言葉」の引用。
タイミング、好機…。振り返ると、失敗したことばかり思い出される。
しかし、案外、「運が良かったのかもしれない」とも思う。
66まで生きて、毎日の生活が充実していれば、文句は言えないだろう。
この本には、東山さんの旅、文学、音楽などについての思いが、まるで友人に語るように綴られている。
作家の目的地は、台湾、広島、ハワイ、小値賀島、延岡…。
東山さんの文章は、時に自分の傷をさらけ出すこともあれば、小説家として生きる強い決意の表明もある。
私には、同じ福岡に住んでいるということ以上の親しみを感じる。旅を通した作家の思いは直球で私の心に届いた。
韓ドラが好きだった教授のこと
先日、妻の買い物を待っている間、モールの駐車場でラジオをつけた。
流れてきたのは坂本龍一の声。
今年の1月、ニューイヤースペシャルの再放送だった。
病の進行は彼の体力を奪い、それがラジオの向こうの声に表れていた。
番組の終わりに話したのは、韓ドラ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」の次のシーズンを楽しみにしていること。
「それでは、来年のニューイヤースペシャルで会いましょう」の言葉が切なかった。
坂本バンドを見たのは1982年11月27日福岡南市民センター。
これから私たちは坂本龍一のいない世界を生きていかなくてはならない。