今年初の東京です。
新宿のNTTインターコミュニケーション・センターで「evala 現われる場 消滅する像」を体験してきました。視覚を中心にした表現領域である「美術(visual arts)」に対し、聴覚を中心にした表現として「サウンド・アート」があります。サウンド・アートでは楽音(楽器で演奏される音)によらない、自然環境音を録音した素材などの、さまざまな音が使用されています。これは、サウンド・アーティストであるevalaさんの現時点における集大成となる展覧会です.
鑑賞者は靴を脱いで暗い部屋に入り、中央にある隆起した柔らかいオブジェの上で仰向きに横たわります。目を閉じると、虫や鳥の声、川、海など水の音が聞こえてきます。風や雨の気配も感じます。巧妙に配置された電子音は自然と一体となっているように聞こえました。
『甘い生活』(フェデリコ・フェリーニ監督1960年)を思い出しました。映画の中で上流階級が集まって波の音や鳥の声を聴く場面があります。自然の音の美しさを忘れてしまった現代人。録音された音、複製が溢れる世の中。個人の嗜好がより深く狭くなるにつれて他者とのコミュニケーションは困難になっていきます。
暗闇の中から聞こえてくるたくさんの音に耳をすましていると時間の感覚もおぼろげになっていきました。ふと気がつくと音の洪水の中から元気ないびきが聞こえてきます。隣にいた妻はすでに夢の中にいました。
