日本が起こした戦争について考えている。今振り返ればわかる。歴史を学べば誰でもわかるに決まっている。勝つはずがなかった。それなのになぜ始めてしまったのか。
総力戦研究所というのがつくられていた。日本が真珠湾を攻撃する直前。メンバーはまだ30代の各分野の精鋭たち。軍だけでなく各省、民間企業、ジャーナリストなども含まれている。結論は出ていた。日本は必ず負ける。始めはいくつか勝利できるだろう。でもそれは続かない。東南アジアからの石油も届かなくなる。ソ連も参戦する。分かっていたのになぜ始めたのか。当時の首相、東條英機もこの結論を聴いていたというのに。
軍人たちが強大な力を持っていたのは確かだ。しかし、多くの国民もこれを支持していた。新聞も同じ。これを批判することはできなかった。しなかった。「昭和16年夏の終戦」(猪瀬直樹著)を読んで、驚いたことは東條英機のこと。東條が戦争を始めた勢力の代表者と思っていた。しかし、事実は単純ではない。このまま進んではいけない、と東條は思っていた。どうにかして引き返すことはできないのか苦悩していた。敗戦が決まった後には、天皇に責任が及ぶのを止めるために、自分が盾になった。国民の多くは、責任を他者に押し付けて総括を終えてしまった。「自分は騙されていた。悪いのは軍部であり、東條だ。」最近のニュースを聞いて、何も変わっていない、と感じる。また同じことが繰り返されるのか。
