世界がどんどん不安定になっていることが気になります。かといって軍を増強することばかりではだめでしょう。まずは外交の努力が大事。政治家の発言を聞いていると、心配になります。勇ましい言葉、危機を煽るような振る舞い。日本はかつてたどった道に再び踏み込むような気がします。ではそうすればいいのか。いい本を見つけました。軍事の専門家小泉悠さんと護憲派が語り合う安全保障。軍備増強一辺倒ではなく、非武装中立でもない。解決の糸口がありそうです。そういう組み合わせの話を聞いてみたかった。以下が目次です。
まえがき 「みんな」でない「みんな」で語り合った記録
- 問題提起 ウクライナ戦争から考える日本の安全保障
1 安全保障をめぐる環境は大きく変化している
2 ウクライナ戦争から考える安全保障の条件
3 平和一辺倒と軍事一辺倒の狭間で
第2章 対話Ⅰ 安全保障をめぐる現状をどのように考えるか
1 西側の冷戦処理には3つの問題があった
2 日本を等身大のものとして捉える
3 「待合室」をみんなで作っていく
5 戦争で妥協が実現する可能性、北朝鮮用とされる兵器の問題点
第3章 対話Ⅱ 私たちは今後どうすればいいか
1 「専守防衛」をどう考えたらいいか
2 力が幅を利かせる世界で大国でない国がなすべきこと
3 世論と運動で戦争を止める可能性はあるか
4 侵略を阻止するための日本の貢献はどうあるべきか
5 核抑止は未来永劫必要なものなのか
対話を終わって
主催者の閉会のあいさつ
補章 インタビュー 憲法大好き軍事評論家の葛藤と模索
1 左翼の両親と、右寄り読者の間で 「小泉悠を」をつくり上げたもの
2 国防のために、民主的価値を守る軍隊を
今の日本のやり方は悪くない。どうにか平和を維持できています。ではこれからどうするか。大国はすべからく暴力性と独善性をもっています。ウクライナ戦争のようにロシアが間違ったときには意見を言えました。問題はアメリカが間違ったときですね。同じように言えるでしょうか。こういう問題に100パーセントの正解はありません。少しでもマシな方を選ぶしかありません。後悔のない選択をするためには準備が必要です。しかし、左右の対立、分断が大きくなっていることが心配です。丁寧な話し合い続けたい。そういう場を増やしたい。たとえ考えが違っていても、相手を憎むことなく、耳を傾けることができますように…。またしても結論は「対話」にたどり着きました。安全保障について、家族や友人そして多くの人たちと、もっと上手く語り合えればいいのですが…。
「小泉悠が護憲派と語り合う安全保障 『日本国憲法体制』を守りたい」小泉悠著
