退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

心に吹く風

福津イオンで映画「ファーストマン」

一緒に映画を見た妻は怒っていた。
「何だこの男!先に亡くなった娘のことばかり考えて、子どもや妻のことはどうなるの!」
確かにそのとおりである。
変な奴・・・。

歴史に残る偉業を成し遂げた男を描いた映画。
しかし、そのことを盛り上げようとはしていない。
あえて抑えた描写。
男は心に傷を抱えていて、周囲とは軋轢がある。
誰にでも確固として揺らぎがない部分と不安定なところはあるだろう。
宇宙飛行士としては完璧だが、家族にとっては頼りない男。
何を考えているのかよく分からない人間。
そんなこともあるだろうと思わせる。

映画も小説も文体が命。
この映画は文体が確立している。
リズムに乱れがなく、アクセントも巧妙。
静かな語り口だが見る者の心をぐっとつかんでくる。
はじめて月の上に立った男。
その心に吹く風を見た。

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