退職しない教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

教育

われら/やつらを越えて語り合うために

「人を批判したくなったときは少し待て。人は皆、お前が持っているような恵まれた条件を持っているわけではない」 『グレイト・ギャツビー』(F・スコット・フィッツジェラルド)の冒頭で、語り手が父から授かった助言である。何とも印象に残る一言だ。人は…

匂いで世界を読み取る子どもたち

「チョコレートのにおいがする…」 中休みが終わり、子どもたちが教室へ戻ってきたときのことです。 クラスでいちばん小さな女の子が、ぽつりとつぶやきました。 私は、その言葉に気づかないふりをしました。 コーヒーと一緒にチョコを流し込み、そのあと念入…

母語の外で生きる経験から生まれる豊かさ

入学式前日の準備作業では体育館のトイレ掃除をしました。男子トイレの掃除を6年生の男の子と一緒に済ませてから女子トイレの確認をしました。担当の女の子に話しかけてもキョトンとしています。それを見ていた男の子が教えてくれました。「先生、その子は中…

対話への大きな希望

「みんなの考えはどれもすばらしいです。それではこれで授業を終わります」 こんな風にして終わる国語の授業をしたことがあります。 考えを出し合うだけでよかったのか、と疑問が残りました。 「AとBはどちらが正しいのか」という授業をしたこともあります。…

AIによるカウンセリングは人間を超えるか

先週は3年生の算数「まるい形を調べよう」の授業を見ました。「球体の断面は円である」ことを学ぶところです。「では、このドッチボールを真ん中のところから半分に切ったら、どんな形になるでしょう」と教師が問うと、男の子が予想を述べ始めました。クラス…

なんて美しいんだ、とわたしは言った。

「あれはズッキーニですか?」 教室で2年生の男の子が話しかけてきた。何のことだろう。窓の外を見ると学年園が見える。夏休みの間に大きく育った緑の果実。生い茂った蔓は2メートルの園芸ネットを越えて隣の木をつたい、そのてっぺんまで達している。小学…

主体性を育てるにはどうすればいいのか?

3月24日は修了式。学校の1年間が終わります。私が担任していた1年2組の子どもたちともお別れです。振り返ってみると、できなかったことばかりが頭に浮かんできます。 主体性を育てることは、学習指導要領のキーワードです。私が勤めた学校でも重点の第…

どうして日本の牛乳は甘くないのですか?

ベトナムからの転入生がやってきて1週間が過ぎました。予想したよりも早く適応できている様子なので安心しています。「おはようございます」「さようなら」「トイレにいきたいです」など、よく使う言葉はもう覚えて、休み時間は友達と元気に遊んでいます。小…

すきなものおしえて

昨日の放課後、教室で採点していると1組のK先生がやってきました。急ぎの相談がある様子でしたが、話を聞くと、転入生が来週やってくるとのこと。つまり転入生をどちらの学級で受け入れるかの相談です。短い話し合いの結果、うちの学級で受け入れることに決…

哲学は役に立つのか?

先週は3年前に私が初任者研修を担当したSくんが結婚式の招待状を届けに来てくれました。もうすでに1児の父となっているSくんに「哲学対話」のことを伝えました。子育てについては、もっとこんなことをしておけばよかった、と今になって思うことがたくさんあ…

かなしみ

谷川俊太郎さんが亡くなられました。 40年の教員生活の節目で私はいつも谷川さんの詩を読んできました。 「ネロ」の詩を紹介したのはまだ私が20代の頃。クラスで一番明るく元気な女の子が涙を流していたことを覚えています。死んだばかりの愛犬を思い出さ…

出生率は「住民投票」

7月17日から三者面談。担任教師と保護者、子どもの三者が1学期の学校生活を振り返ります。一人20分、4日間で35人の保護者との面談です。私が担任となってからまだ3週間しか過ぎていないのでどれほどの話ができるのか心配です。 面談のはじめに天気…

先生はえらい

サイラーのザッハトルテ 2024年7月 7時50分、教室へ。元気な声で「おはようございます!」と挨拶される度に、こちらも元気が湧いてくる。しかし、朝から落ち着く暇はない。「先生、具合悪い」「先生、これってどうすればいいですか?」と、子どもたち…

「想定外」が問いを深める

大濠公園ロイヤルガーデンカフェ 2024年6月 1年生の学級担任の休みが続いています。校長先生から1年生の担任をしてほしいという依頼を受けました。家に帰って家族に相談すると、妻から反対されました。無理をして体調を崩すことを心配しているようで…

子どもの言葉から「言語の進化」を考えた

連休初日は大濠公園のロイヤルガーデンカフェでブランチ。 ここは本当に居心地のよいカフェです。 湖面をすべる巨大な「白鳥」を見ながらコーヒーをいただきました。 夜は久しぶりの「中州ジャズ」。川沿いのオープンステージで山本剛トリオの「ミスティ」が…

子どもたちに民主主義を教えよう

「子どもたちに民主主義を教えよう 対立から合意を導く力を育む」(工藤勇一・苫野一徳著)あさま社 憲法とは何でしょう。すべての法律の中心にあるもの、私たちが守らなければならないものと考えてしまいます。しかし、憲法とは、私たち市民が対等で自由で…

「ルポ 誰が国語力を殺すのか」石井光太著

今日は中州のbills(ビルズ)でチーズサンドを食べました。少し高い店ですが、外国に来たみたいな雰囲気で、気分が上がります。 「ルポ 誰が国語力を殺すのか」石井光太著 国語力低下の問題は単に学力の問題ではありません。もっと大きな問題、社会全体に関…

授業で学級をつくる

夏季休業中は延べ29回の面談を実施しました。授業や学級づくりに関すること、指導案作成など、1人約1時間。普段は短い時間しか話ができないので、まとまった時間にゆっくり話を聞くことができるのは貴重な機会でした。 先生方との面談で聞いたことは、「も…

「教育書の生かし方」松村英治著 東洋館出版

この本は小学校教師の著者が今までに読んだ本(1500冊)から「私の考えや実践を創ったり変えたりしたきっかけを与えてくれた教育書」の22冊を選んで紹介した本です。 「読書をどのように実践に生かすのか」が語られています。例えば私も「クラス全員が熱…

 成果や能力をほめるのは危険!?

猪野神社の奥にある茅乃舎(かやのや)カフェに行きました。 真空管アンプからはチェロの優しい調べが聞こえてきます。 初夏には蛍が舞う小川の横にあります。 成果や能力をほめるのは危険!? 「すごい!100点だね」「全部できたね。完璧!」のように子ども…

「なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?」岡崎大輔著

先日、新聞で元福岡市こども総合センター所長の藤林さんのインタビューを読みました。 「サッカーでいうと、児相はゴールキーパー。本当はみんなで守っているはずなのに、失点すると、『何してるんや』と言われ続ける」 子どもの虐待死の事件では、いつも児…

「BBQ型学級経営」渡辺道治著 東洋館出版社

信頼している土居正博先生の紹介でこの本を知りました。BBQ型学級経営とは参加型の学級経営のことです。学校教育や授業に保護者の参加を促せばどんな良いことが起きるのでしょうか?この本はそんな学級経営に取り組んだ渡辺先生の実践記録です。 現在の学校…

学校は会社ではない! 内田樹著「複雑化の教育論」東洋館出版社

先週の金曜日にメールがありました。 私が担当するY先生のクラスが、月曜から再び学級閉鎖。 学級閉鎖の数があまりにも多いので、閉鎖の基準は改定されることになりそうです。 学校は会社ではない! 内田樹著「複雑化の教育論」東洋館出版社 この四半世紀の…

「第四次産業革命と教育の未来 ポストコロナ時代のICT教育」(佐藤 学 岩波ブックレット)

「第四次産業革命と教育の未来 ポストコロナ時代のICT教育」(佐藤 学著)を読みました。 新型コロナ感染拡大に対応して、子ども「一人一台端末」が実現しました。 「学びを止めない未来の教室」実現に向けて、学校のICT環境整備は進んでいます。 経済産業省…

「流行に踊る日本の教育」石井英真編著 東洋館出版社

先週は、3年生の国語「山小屋で三日間すごすなら」を参観しました。 「話し合い」について学ぶ3時間の小単元です。 その学級では1名リモートで参加している子どもがいました。 驚いたのは、グループで話し合う活動場面で、その子が参加していたことです。 教…

ICT教育を成功させるためのヒント

ワクチンの予約がとれました。私は今64歳なので、対象にはならないと思っていたのですが、今年度中に65歳になる者は接種できるそうで、チケットが届きました。近所の病院でも受けることができると書いてあったので、いくつかの病院へ電話したのですが、「も…

エディ・ジョーンズ 言葉の選択

「指導する上で言葉はとても大切だ自分の発言は必ず選手に影響を与える好影響か悪影響のどちらかで中間は存在しない一言もおろそかにはできない」エディ・ジョーンズ 中間が存在しないことはないだろうしかし、ここでエディが言いたいことは分かるそう思うこ…

「経験から学ぶ」とは「失敗から学ぶ」こと

教師の仕事の楽しさとは何でしょう。授業は難しいものです。研究授業をして、うまくいったと感じることはほとんどありません。たいていは、自分で計画した通りには進まず、落ち込みます。まあ、うまくいかないことが多いから、少しでも手ごたえを感じること…