退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

日台万華鏡

来年度から働く学校は決まっていました。 しかし、勤務校へ挨拶に行って打ち合わせまでしていたのに変わりました。 教育委員会も教員不足の中、人員確保に大変なことは分かっているので文句は言えません。 この4月から再任用8年目です。 小学校の外国語専科…

釜山の交番で「聞く力」について考えた

釜山の交番にあった聞くポーズの警察官の大きな写真。日本ではまず見かけない。写真を見ながらS校長先生から以前に聞いたことを思い出した。韓国の警察官はとても親切で優しいらしい。市民はそれを警察に求めているし、警察も要望に応えているという。 これ…

釜山で地下鉄の運賃について考えた

1泊2日で釜山へ行きました。今回は元同僚の教員たちと一緒です。いつものように釜山のS元校長先生に案内をお願いしました。いつもと違うのは移動にすべて公共交通機関を使うこと。前回、地下鉄やバスに乗ってみると日本との違いを多く発見できて面白かったの…

奈良と三島由紀夫

奈良へ行きました。三島由紀夫の「豊饒の海」の月修寺のモデルとされる圓照寺に行きたいと思っていたのですが、奈良に向かう途中の新幹線で調べると、通常は非公開で一般拝観は不可とのこと。第一の目的地が消えました。 奈良駅に着いて、最初に向かったのは…

「恋の帰結」ブレイディみかこ

白内障の手術をした。数日休んで学校へ行くと廊下の掲示板が変わっていたので驚いた。それは1年生から6年生までの行事の様子を並べた写真。「きれいな写真だなあ! よく撮れているじゃないか…」もう一度よく見ると、前と同じ写真だ…。 映画「パーフェクトデ…

伊福部昭と橋本忍

誕生日にプラネタリウムをもらった。今年の1年次教員たちからのプレゼント。「テーマは癒しです」と説明してくれた。そんなに癒されていないように見えるのかなあ? まあ疲れているようには見えるだろうけど。セットでいただいたのは、ミッフィーの仲間のボ…

ナチスは「良いこと」もしたのか?

村上春樹による小澤征爾の追悼文を読んだ。 スイスのコンサートの終了後、楽屋で意識がなくなった小澤。 村上は医者が来るまでの間、どうしていいのか分からず必死で小澤の手足をこすり続ける。 やっと意識を取り戻した小澤からことの顛末を聞く。 手術後は…

「モトムラタツヒコの読書の絵日記」書肆侃侃房

今朝は大濠公園のロイヤルカフェで妻とブランチ。 先日見た映画「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」の感想について話した。 ネイティブ・アメリカンの悲しすぎる歴史。 マーチン・スコセッシ監督、ロビー・ロバートソン音楽。 情けないチンピラのディカ…

「映画の木漏れ日」川本三郎著

私が働いている学校でも大谷選手のグローブが大きな話題になっています。 1年生の教室では、先生が子どもたちに説明していますが、よく伝わっていない様子です。 「もうすぐ大谷選手のグローブがきます」 「大谷選手が来るんですか?」 「違います。大谷選手…

漱石はアンリ・ルソーだった

久留米市美術館で「芥川龍之介と美の世界 二人の先達 夏目漱石、菅虎雄」を見た。 菅さんは二人と交流があった教育者、書の名人で夏目と芥川のいくつかの著書の題字を書いている。 芥川と漱石のたくさんの手紙を読んだ。 昔の人は驚くほど多くの手紙を書いて…

「その世とこの世」(谷川俊太郎 ブレイディみかこ著 奥村門土絵)岩波書店

母を亡くしたブレイディさんは旅に出た。 目的地はウイーン。 ヨーロッパの古都でエゴン・シーレを観る。 そこで、見知らぬ老人からヒットラーをめぐるウオーキングツアーを勧められる。 この有名な独裁者はウイーンの美術学校の入学試験に失敗した。 同時期…

映画「PERFECT DAYS」

好きな小説は数ページ読んだらわかります。「ああ、これはいい…。」同じように好きな映画は少し見たら分かります。「文体」と「リズム」。無口な主人公の心の風景は映像に重ねられた音楽を通して伝わってきます。 「朝日のあたる家」アニマルズ、「ペイル・…

風景をつくるごはん

「風景をつくるごはん」(真田純子著)を読みました。自分の食生活を振り返ると、「旬のものを食べる方がいい」とは思いながら、「食べたいもの食べたいときに食べる」生活になっています。しかし、自分が農村に行ったときには、「ビニルハウスが多い風景に…

竹内まりやから小泉八雲へ

信じられない速さで 時は過ぎ去ると 知ってしまったら どんな小さなことも 覚えていたいと 心が言ったよ 「人生の扉」竹内まりや 竹野屋 出雲に行ってきました。竹内まりやの実家の旅館が出雲にあると聞いたことがあったので、宿はそこにしました。竹野屋は…

語学の天才まで一億光年

雷山 千如寺 今日は、雷山の千如寺で紅葉を楽しんだ後、糸島茶房でランチをいただきました。 糸島茶房 「語学の天才まで一億光年」高野秀行著 言葉とは何でしょう。人は言葉で思考します。言葉は伝達の機能もあります。それだけではなく、言葉は文化そのもの…

愛にイナズマ

先週は約30年前の教え子たちとの飲み会でした。みんなもう40代半ば。このクラスはとても仲が良く、今でも半数以上のメンバーが連絡を取り合って。時々集まっています。やんちゃだったYくんは数年前から焼き鳥屋をしていたのですが、お客が少ないようで心配し…

「幸福人フー」坂口恭平著

これは坂口さんが幸福とは何かを書いた本。坂口さんが人生ではじめて会った幸福な人が奥さんのフーちゃん。だからこの本は坂口さんが幸福について研究するため、フーちゃんにインタビューした内容になっています。 坂口さんは躁鬱病で、鬱の時は暗く不安で自…

愛と絶望のコリア記

今日は国語研究会の先輩K先生のコンサート。会場はアクロス福岡シンフォニーホールです。プログラムはヘンデルのメサイア。喜びと悲しみ、光と影、ヘンデルの世界へ深く引き込まれました。ハレルヤ。 「愛と絶望のコリア記 地方記者が見つめ続けた韓国」藤井…

吉井町の小さな本屋で坂口恭平の画集を買った

毎日行っている3年生の教室で体操帽子を拾いました。 名前を探したが書いていないので近くにいた女の子に聞いたら、帽子に鼻を近づけて一瞬で「○○さんの」と当てました。 これは「小学校あるある」です。 小学生の嗅覚、恐るべし。 人間は成長しながら野生の…

コモンの「自治」論

アジア美術館のカフェで本を読んでいたら隣のテーブルにどこかで見た顔を発見。先輩のK先生でした。今は大学で教えているそうです。今日は、美術館で開催中の「水俣展」のボランティアスタッフとのこと。それなら、というわけで読書を中断して水俣展へ。 「…

坂本龍一が遺した音

昨日はテントセンブックスの読書イベント。 13人もの参加者で店が満員になりました。 終了後にある女性から声をかけられたら、実は昔の同僚の娘さんだとのこと。 小学校教員をしているそうで、驚きました。 今日は東図書館のビブリオバトルに参加。 プロのア…

子どもの言葉から「言語の進化」を考えた

連休初日は大濠公園のロイヤルガーデンカフェでブランチ。 ここは本当に居心地のよいカフェです。 湖面をすべる巨大な「白鳥」を見ながらコーヒーをいただきました。 夜は久しぶりの「中州ジャズ」。川沿いのオープンステージで山本剛トリオの「ミスティ」が…

「こんにちは、母さん」山田洋次

上映館では老人が多くて彼らは映画が始まってもおしゃべりをやめないので困った、とネットの映画レビューにあった。私が行ったトリアス久山のユナイテッドシネマでも同じことが起きてたので笑ってしまった。 老いの哀しさ、リストラする上司の苦悩、親子の断…

「季節のない街」 山本周五郎著

学生の頃、黒澤明監督の「どですかでん」という映画を観ました。黒澤監督が不遇の時代の作品です。少数者への共感が描かれている、と感じたのはそんな監督自身の境遇と重ねて見たからなのかもしれません。その原作がこの小説です。 そしてこの夏には、「季節…

「なぜ豊岡は世界に注目されるのか」中貝宗治著

昨日は箱崎のブックスキューブリックのイベントに行きました。 イベント後の懇親会では、モトムラタツヒコさんやキューブリック店主の大井実さんとお話できました。 本や音楽、映画を通して自分を語り、相手を知る。読書は人生を豊かにすると確認できました…

浪のしたにも都のさぶらふぞ

山口への短い旅行でした。 途中で寄り道して北九州市立美術館の白髪一雄を拝見。熱い! 宿に着いたらJBLパラゴンでジャズを聴かせてもらいました。こういうスピーカーが家にあればいいなあ。でも狭いマンションでは無理ですね。 翌日はYCAM(山口情報芸術セ…

「鍋の中」村田喜代子

金曜日は1学期の終業式でした。1年生の教室では先生が子どもたちに話をしていました。「明日から夏休みです」「えー、まだ学校に行きたかった!」と、1年らしい反応です。その後も子どもたちから質問が続出します。「今度は2年生ですか?」「まだ1年生です」…

あの頃、渡辺貞夫と

土曜日のお昼は香住ヶ丘の「フルフル 風の森店」へ行きました。 私のお気に入りは、2階のロフトのような場所。ステレオセットにアナログプレーヤー、渡辺貞夫のLPレコードが飾ってあります。「How's Everything」は1980年のアルバム。ギターはエリック・ゲイ…

運命のひとひねり 村田喜代子とボブ・ディラン

「耳の叔母」(村田喜代子著)を読みました。著者の村田喜代子さんには一度お会いしたことがあります。福岡市の国語研究会で講話をお願いしたことがあって、その打ち合わせをしたときです。有名な芥川賞作家と会える、と緊張してしまって何を話したのかよく…

「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」坂本龍一 

昨日は、後輩Hさんの教頭昇任祝いをしました。彼は2年前に訪問していた学校の教務主任でした。とてもユニークな人物です。教員になる前は、他業種で働いていたところが私と一緒。もう一つ、ミュージシャン志望だったことも同じだと分かって意気投合しました…