退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

「農業フロンティア 越境するネクストファーマーズ」(その2)

先週は「オンラインありがとう集会」を見ました。この時期、小学校で実施される6年生に感謝を伝える行事です。前は体育館に全校児童が集まって行われていたのですが、コロナ禍でオンラインでの実施となりました。オンラインでどれくらいできるのかな、と心配していたのですが、オンラインならではの工夫があったので驚きました。

 

なぜ越境者が農業を刷新できるのか

 

前回のブログ記事「農業フロンティア 越境するネクストファーマーズ」のツイートに著者の川内イオさんからコメントをいただきました。本の紹介記事を書いたら著者からコメントをもらうこともできる、というのがSNS時代の恩恵ですね。川内さん、ありがとうございます。とても嬉しいです。

 

この本の紹介を続けます。この本のキーワードが「越境」。エンジニアからの転身、小松菜園を継いだネパール人、佐渡島でワインを造るフランス人など、分野を越えて、国を越えて日本の農業に挑戦する魅力的な人たちが描かれています。

もう一つのキーワードは「継承」です。親から子へ、先輩から後輩へ、地域のベテランから若者へと農業の技術だけでなく、そのスピリットが継承されていく物語が感動的です。

 

バラ農園会社「ローズラボ」を率いる田中綾華さんを紹介します。田中さんは、コロナ禍で花の売り上げが激減する中、バラを使った多機能スプレーを開発します。これは、田中さん自身が敏感肌のため、普通の消毒液では手に痛みを感じることから考案されました。バラを加工したローズウォーターからできたローズバリアスプレーは敏感肌の人でも安心して使えます。これはバラを超える売り上げを記録します。

田中さんは、大きな失敗を乗り越えてここまでたどり着きました。起業するときはよい条件が重なりました。継ぐ人を求めていた農地は見つかり、融資もおりました。しかし、1年目はすべてのバラを枯らしてしまい、赤字になりました。それでも2年目はバラのジャムの成功で売り上げは3000万円に伸び、3年目はバラの化粧品が人気となって1億円の売り上げを記録します。

 

「越境者」による新しい農業の創造。この本には女性が3人、外国の方が2人、登場します。今までにあまり例がない挑戦は、多くの困難が伴います。しかし、日本の農業を刷新できる力を持っているのは越境者だと感じました。今までになかった発想と実行力を持つのが越境者だからです。

内閣府「国民経済計算」「名目GDPに占める産業別割合の推移」によると、農水産業の割合はわずか数パーセントです。私たちの食生活に直結する農水産業の衰退は何としても止めなくてはなりません。子や孫の世代まで、地元で生産されるおいしいものを食べることができるようにしてあげたいと思います。日本の農業の復活のために私も何かできることを始めます。