退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

コモンの「自治」論

アジア美術館のカフェで本を読んでいたら隣のテーブルにどこかで見た顔を発見。先輩のK先生でした。今は大学で教えているそうです。今日は、美術館で開催中の「水俣展」のボランティアスタッフとのこと。それなら、というわけで読書を中断して水俣展へ。

「希釈すれば無害である」と語っていた会社の幹部。「排水は病気とは関係ない」と証言していた有名大学の先生方。政治家も学者も役所も会社を応援する構図。現在進行中の「排水」が重なってきます。来てよかった。

 

「コモンの『自治』論」(斎藤幸平、松本卓也白井聡、松村圭一郎、岸本聡子、木村あや、藤原辰史)を読みました。

「人新世の『資本論』」の続きが知りたい読者に向けた本です。社会主義国家や社会主義的な政策が上手くいかなかった反動として、新自由主義的な政策が先進国の多くで広まりました。しかしそれは更なる富の集中をもたらし、格差と分断は大きくなるばかりです。解決のカギは「自治」。松村圭一郎さんの章にこんな記述がありました。「店がともに生きる拠点になる」「単なる商品交換を超えた店で育まれる人間関係」「自律的でありながらも他者に配慮する関係性」。これはテントセンブックスクラブで今、起きていることです。自分が関わっている活動は新しい「自治」につながっていました。