みかこさんたちは友人夫婦とジャズフェスティバルに出かける。
太りすぎていて膝に痛みをもつ友人は車いすを夫人から押してもらっている。
フェスに来ている客から、太りすぎで動けなくなっていると思われた友人は冷たい視線を受ける。
しかし、みかこさんの友人夫婦に向けるまなざしはどこまでも温かい。
この本に登場するおっさんたちは1957年生まれの私とほぼ同世代。
イギリスと日本でそれぞれたどってきた道は違っても、今の心の風景はなぜか似ている。
人生の終点がだんだん近づいてきて、いろんな想いが心をよぎる。
本を読みながらハマータウンのおっさんたちとかたい握手を交わした。
とてもやさしく……
あなたの物語は
あなたが見ているものや
あなたがしてきたことや
あなたがなるだろうものに過ぎない
あなたの世界は
あなたの残してきた
すべての小さなものたちに過ぎない
夏の日はなかなか沈まない。もうそんなに長い時間は残されていないのかもしれないが、まだまだどうして眩しい光がわたしたちの世界を照らしている。すべての小さなものたちを。
「グラン・トリノ」を聴きながら