退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

「13歳からのアート思考」末永幸歩著

 

現行の学習指導要領の中でも思考力の重要性が述べられています。
思考力の育成は、教育課題として長年にわたって指摘されています。
それにもかかわらず今も課題となっているのは、思考力を身につけさせるのが難しいからでしょう。
思考力がどういうものなのかという定義の困難さもあると思います。
更に今、課題になっていることは、先を見通すことができない今の時代に、子どもたちにどのような力をつけてあげればいいのか、それが分かりにくいということです。
そういう状況で、この本に出会えて本当によかったと思います。
ここには、今まで私たちが学んできた思考力とは違う新鮮なアプローチがあります。
それは論理よりも感性を大切にした思考のレッスンです。
この本では、絵画を通した「アート思考」を学べます。
これを読んで、現代アートが好きになる人が多くなるでしょう。
楽しく新鮮な気づきをたくさんもらえます。
ぜひ小学校の先生方にも読んでほしいです。
「正解がない問い」に対する思考は、文学、自然、社会などにも応用できると思いました。
「自分なりのものの見方/考え方」を育てるためのヒントがいっぱいのオススメの本です。

「アート思考」の例
「どこから/そこからどう思う?」の問いで深める
①どこからそう思う?
 主観的に感じた「意見」の根拠となる「事実」を問う
②そこからどう思う?
 作品内の「事実」から主観的に感じた「意見」を問う

カンディンスキーの絵画「コンポジションⅦ」を見て
①「うるさい感じがする」「どこからそう思う?」「所狭しと形が描かれているからかな。どの形も見慣れないものだな」
②「多くの色が使われている」「そこからどう思う?」「賑やかな感じがするから、元気が出そうかな」