退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

「出し合い」から「伝え合い」へ ~「三年とうげ」(3年国語)~

「出し合い」から「伝え合い」へ ~「三年とうげ」(3年国語)~

毎日の授業で、「伝え合い」を意図して展開を工夫しても、「出し合い」になってしまっていると感じている先生は多いのではないでしょうか。子どもたちが、たくさん読み取ったことを発表して、「今日は、いい読み取りがたくさんできてよかったですね」でまとめてしまっては、子どもは何がよかったのかわかりません。友だちと一緒に学ぶ意義も薄れてしまいます。それでは、「出し合い」を「伝え合い」にするためにはどうすればいいのでしょう。
 お話の同じ部分からの読み取りをいくつか続けて発表させて、その中で自分がいいと思う考えを選ばせるという方法があります。3年生の「三年とうげ」のおじいさんがうれしくなって何度も自分からころぶ場面で考えてみましょう。「おじいさんが何度もころぶところがおもしろいと思いました。それは、ふもとまでころがり落ちたからです」は同じ場面からのよみとりです。「おじいさんが何度もころぶところがおもしろいと思いました。1回ころんで病気になっていたのに、何度もころんで元気なったからです」は、前の場面との違いに着目した読み取りです。「おじいさんが何度もころぶところがおもしろいと思いました。真っ青になっていたのが、けろけろけろっとした顔になっていたからです」は、顔の表情の変化に気づいた読み取りです。同じ場面からだけの読み取り、場面と場面をつないだ読み取り、場面と場面の違いに着目した読み取りなど、それぞれのよさを考えさせるとともに自分はどれがいいと思うのか選択させる(理由も言わせる)こともいい学習になります。
 AさんとBさんの発言の違いは何なのか、どうしてそれがいいと思うのか、それについて意見を交流する中で、よい読み取りはどういうものなのか、分かりやすい説明の工夫はどれなのか、子どもたちは自分で気づくことができるでしょう。