退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

100分de名著「資本論」カール・マルクス 斎藤幸平解説 NHKテレビ

先週は、特別支援学級で英語活動の授業をしました。

学期末の恒例です。

1時間目はクイズとゲーム、2時間目は作って遊ぶ活動。

もう随分実践を重ねてきたので、2時間を楽しく英語で遊ぶことができたと思います。

「私はあの子が話すところを初めて見ました」というのは、授業を見た校長先生の言葉。

英語活動では、いつもとは違うコミュニケーションの扉が開くので嬉しくなります。

 

100分de名著「資本論カール・マルクス 斎藤幸平解説 NHKテレビ

 

この番組は今年1月に放送されてから反響が大きく、今月12月にアンコール放送が決まりました。

番組を見て、テキストを読めば、その人気の秘密が分かります。

 

今朝の新聞に日本経済の予測が掲載されていました。

最近の石油価格の高騰は、輸入品をはじめ様々な物価にこれから影響を与えます。

その結果、物不足と物価の上昇が始まること心配されています。

賃金は上がらないまま、物価だけが上がれば、小さな会社や貧困家庭は大きな打撃を受けることになるでしょう。

日本が続けている新自由主義の経済政策は見直しが必要です。

 

このテキストを読んで新自由主義について再確認できました。

新自由主義とは、20世紀後半に欧米や日本などの先進国が採用した経済政策です。

公共事業の民営化、規制緩和による市場の自由化によって経済が活性化するという考え方です。

日本でも郵政事業や電電公社などの民営化が実行されました。

民営化や規制緩和によって、競争と効率化が促されるのは良い面もあるでしょう。

しかし、それによって富を増やしたのは一部の人たちだけで、労働者の賃金は上がらず、格差は広がるばかりです。

新自由主義によって企業の利益が増えれば、社会全体が豊かになると言われていました。

しかし、それはいつまで待っても実現されません。

 

このテキストで紹介されている全国の公立図書館の非常勤職員が増えているデータにも驚かされます。

公立図書館で働く人の5割以上が非常勤職員となりました。

これは「効率化」と「コスト削減」が何よりも優先された結果です。

このままでは、図書館で働きたいという人は減る一方で、サービスの質も低下していくでしょう。

公立図書館は大切な社会の「富」ですが、資本主義の原理では切り捨てられていきます。

公立図書館は「商品」ではなく、儲けを生まないからです。

このような現在起きている社会の矛盾をマルクスは予言していました。

 

資本主義の暴走は、教育、医療、住宅、電気、水道などの社会的基盤へのアクセスを不十分にするだけでなく、エネルギーや資源の大量消費が地球環境に壊滅的な打撃を与えます。

ではどのような解決のヒントがあるのでしょうか。

このテキストではアムステルダム市の取り組みが紹介されています。

国の政策転換を待つのではなく、ローカルなコミュニティや地方自治体から変革が起きています。

環境破壊と貧困を同時に解決する新しい都市の構想です。

バルセロナの呼びかけで始まった「ミュニシパリズム」(地域自治主義)が世界中に広がっていることが大きな希望です。

斎藤さんの丁寧な案内がなければこの難解な「資本論」に目を向けることはなかったでしょう。

斎藤幸平さんありがとうございます。

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今日のBGM “River” Joni Mitchell