退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

国語「書くこと」の指導

若い頃、作文単元の研究授業に取り組んだとき、「想」の発展、構成、推敲から「意欲の継続」まで、全時間の手立てを丁寧に準備しました。
そのときはよい作品が多く完成して、コンクールで賞を獲得することもできました。
ある程度、よくできた指導だったと思います。
しかし、振り返って、子どもたちに本当の「書く力」をつけることができたのか、と考えると疑問です。
その後、私は指導方法を変えて、とにかく毎日たくさんの文を書かせることにしました。
気負わず、構えることなく、文章を綴るように教えたのです。
教師からのコメントも負担にならない程度にしました。
評価のポイントを絞り、すぐに子どもに返却することを心がけました。
すると、書くことを楽しむ子どもが増えたのです。
その中から、コンクールに入賞する作品も生まれました。
教師も子どもも気負わずに多くの文章を書かせた方が「書く力」を高めることができます。
目指すのは「歩くように、呼吸をするように、文章を書く子ども」です。

低学年では、書くことの楽しさを感じさせることが第一です。
「書くことは楽しい」「もっと書きたかった」という言葉が子どもたちから聞こえてくる指導を目指します。
そのためには、字の間違いや丁寧さについて強く指導することがないように配慮します。
「丁寧さ」「正確さ」は別の時間にそれをめあてにした指導を行うのです。
どれだけたくさん書けたのかを、文の数や行数などで可視化して、満足感や達成感を得ることができるようにします。
低学年の作文指導では「質より量」「書く楽しさ」が重要です。

土居正博先生の「書くこと」の活動例を紹介します。
「主語くじ」短文づくり
〇活動内容
その日につくる短文の「主語」をくじ引きで決め、文をたくさん書く。
〇手順
①主語(とり、さる、人など)をたくさん子どもたちから出させ、くじ引きにしておく。
②くじ引きを引き、その日につくる短文の主語を決定する。
③5分間タイマーで文をたくさん書かせる。
④タイマーがなったら隣の子と交換し、文の数を数え、全体でいくつ書けたか確認していく。
〇活動のポイントおよび解説
一文づくりを毎日の授業の中に取り入れる。一文を確実につくれることは、文章を長くかけることにつながる。はじめは1~2文くらいしか書けなかった子が5文くらい書けるようになる。多い子は15文くらいかけるようになる。

参考文献「1年生担任のための国語科指導法」(土居正博著) 「作文で鍛える」(野口芳宏著)