退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

ショックを与える「聞くこと」の指導

小学校の「話すこと」「聞くこと」の指導では、まず「聞くこと」の指導に重点を置きます。
小学生、とくに低学年は「聞くこと」がほとんどできません。
自分のことを一方的に話して、相手の話を聞こうとしない子がたくさんいます。
それを単に「しっかり聞きましょう」「よく聞きましょう」と指導しても効果はありません。
聞かせるためには、「自分は聞くことができていない!」というショックを与えて、聞かなくてはならない状況をつくり出すことです。
はじめは短い文を短い時間で聞かせて、それを再生させます。
スモールステップで少しずつ難度を上げて「聞く力」を鍛えましょう。

人の話を聞いて分かったつもりでも、「どんな話だった?」と聞かれたら、再生できない人がほとんどです。
齋藤孝先生は「『再生方式』をあらゆる授業で徹底すべき」と強調しています。
「再生」させることを丁寧に指導することで、「聞く力」を育てることができます。
「教師の重要な説明が終わった後、その内容を子どもに言わせる」
「1時間の授業の終わりは、子どもに「まとめ」を発表させる」
これを毎日繰り返し、少しずつ「よい聞き方」に気づかせます。
その過程でメモの必要性にも気づき、「何を書けばいいのか」「何を書かなくていいのか」を理解していきます。
高学年になれば、自分だけの気づき、自分の生活経験とつないだ思考のメモなどもできるようになります。

土居正博先生の活動実践例を紹介します。
「一文」聞き取り活動
活動内容
「『主語くじ』短文づくり」をした後、代表の子どもに読ませる。それを聞き取り、発表する。
手順
①ノートに「○○が××する」という文をたくさん書かせる。
②立候補させて代表を一人決め、読ませる(聞いている子には、メモを取らせると効果的)。
③「今、言ってくれた文をひとつでも言える人?」と聞き、言わせていく。
④すでに言ったものが出た場合は「アウト!」、そうでない場合は「セーフ!」と言って盛り上げる。
活動のポイント及び解説
「単語聞き取り」でしっかり指導しておけば、あとで再生させることは「予告なし」でできます。
代表に立候補させることで、「自主性」「やる気」を伸ばすこともねらいましょう。

参考文献「1年生担任のための国語科指導法」(土居正博著) 「話し上手 聞き上手」(齋藤孝著)