退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

自分の考えをつくる

小学校の言語活動で大切なことは何でしょう。

「いい発表ができるようになることが大事だな」と考えていました。
自分の考えのつくり方を教えていました。

「考えには理由をつけましょう」
「~だと思います。それは~だからです」
「事例を加えると相手によく理解してもらえます」
「たとえば~ということがあります」
「言い換えたり、まとめたりすると効果的です」
「つまり~です」

国語の読み取りの学習では、登場人物の行為の意味を問いました。
「ごんはなぜ何度もくりやまつたけを兵十のところに持って行ったのでしょう」
「前の場面でごんがしていたことの叙述とつなぐといいですね。」
「自分の経験とつないでごんの気持ちを想像するといいよ。」

どうやって自分の意見をまとめさせよう。
どうすれば活発な意見交流ができるようになるのだろう。
そんなことばかりを考えていました。

「国語教育相談室 No.96」に藤森裕治先生の次の文章がありました。
「見かけの活動が上手にこなされたかどうかは問題ではありません。むしろ、話し合おうとしたがうまく進まなかった、意見文に取り組んだがまとめきれなかった、筆者の言いたいことがよく分からかったという経験が重要です。これらのうまくいかなかった経験から何を自分の課題として自覚し、何を学び、そして次にはどうなっていけばよいのか気づくことが、新しい言語活動の目ざす姿となります。」
「何ができ、何がまだできていないのかを子どもとともに知ることです。これは点数化することではありません。教師の共感的理解です」
「大切なのは、子どもの自己評価の言葉を育てることです。そのためには、しっかりと学びを省察することができるように、『概念』としての『考え』を育む語彙をたくさん準備してください」
「『考えの形成』は、子どもの深い学びを実現するための大切な学びの過程であり、子どもたちが失敗やつまづきを恐れずに、それから豊かな意味を見いだすことができるように配慮することが、わたしたち教師の役目なのです」

「考えの形成」にも評価が重要なことが分かります。
「やってみたが~が上手にできなかった。その原因は~だと思う」
「次は~に気を付けたい。~の方法でやってみたい」
自分の足りないところに気づき、改善の必要性を自覚する。
次の学習への見通しをもち、意欲をつなぐ。
そんな学びのイメージが見えてきました。

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大阪 2018年12月