退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

深い思考をもたらす対話力

今、小学校ではペアやグループの交流が盛んに行われています。
どのような交流の姿を目指せばいいのか教師はみんな考えています。
目と目を合わせる、体を向け合う、反応する、笑顔で、などの「型」の指導だけでは、表面的な交流になってしまいます。
交流によって、二つの考えが合体して、新しい考えが生まれる、などの内容的な高まりを目指しても、そのような交流場面を創るのは容易ではありません。

規則正しいキャッチボールのような対話をめざすのでなく。
むしろ、ゆっくり考えながら進んだり、止まってしまったりする対話でいいのです。
異なる考えを無理に一つにまとめる必要はない。
それよりも、お互いの考えの小さな違いを大切にする。
相手の考えを尊重しつつ自分なりの言葉を大事にする。
同じ概念を違う言葉で表現できればそれはむしろよい学習材料になります。
重要なことは対話によって自分の考えを深めることです。


「深い思考をもたらす対話力は、授業での活用だけでは効果的に高まりません。
日常的に次に挙げる活動を意図的にさせておくことが大切です。
〇お互いに小さな差異に気づくこと、多様な見方・考え方を習慣づける
〇なぜ対話するのか、どんな配慮や工夫をするとよいのか、子どもたちに説明しておく
〇さりげないやさしさの関係、語れない子に話しかけるなどの子ども同士のお節介の関係をつくる
〇二人または小集団でのぼそぼそとした話し合いを大切にする。聴くことの大切なことに気づかせる
〇多弁な子には、友だちが話せる配慮を工夫させる
〇寡黙な子には臆せず語る勇気を育む
〇創造的な失敗を奨励する。その姿勢や勇気を褒める
〇失敗に落ち込まない自己復元力を高める
〇議論が行き詰ったときに対応法を習得させる
〇発想力を豊かにする習慣をつける
〇お互いの潜在能力への敬意をもつように配慮する
〇一人ひとりがヒーローになる場面をつくる。このため様々な知識や体験を出させる
〇なかなか考えがまとまらない、悩むこともよいことだと気づかせる」
多田孝志(「国語教育」2019年7月号) 

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ハノイ 2018年3月