退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

「静かな環境」から生まれる豊かな学び

先週参観した学級はどれもすばらしい授業が成立していました。
5年生の算数、6年生の社会科の授業でした。
難しい時期の子どもたちを上手にまとめ、意欲的に学習へ向かわせるのは、ベテラン教員でも苦労するのですが、まだ若い教員たちが、見事に授業を進めている姿に感心しました。
それらの学級に共通している要素が「静けさ」です。

算数の授業では、問題の意味を理解し、見通しを立ててから、まずは自力で解決します。
教室には、鉛筆のコツコツという音だけが響いています。
そのときに今までの自分のノートを見返しながら「そうか!」とつぶやいている男の子がいました。
そこには心地よい適度な緊張感を伴う「静けさ」がありました。

自力解決の後は交流です。
課題が早く終わった子が周りを見渡して困っている子のところに行きます。
問題を考えている子の様子を見ながら、控えめな感じでヒントを与えていました。
二人とも小さな声で、穏やかな笑顔の交流です。
一人一人の子どもの心の平穏と、子ども同士の関係のよさが、この「静けさ」を形成しているのでしょう。
「静かな環境」の重要さを再認識しました。

「学びの共同体の実践のE(環境)においては「静かな環境」が重視されている。
学びの基盤としての環境の要素は、教室の学びを触発する掲示物、モノの彩りと配置、温かく柔らかで潤いのある人間関係など数多くあるが、何よりも大切なのが、「静けさ」である。通常の教室は、創造的思考や深い思考を生み出す空間としては騒がしすぎる。
騒がしい教室は神経を苛立たせ、精神的な疲労を生み出す。
だれもが安心して学べる教室、一人ひとりが自己との対話によって深い思考を実現できる教室は「静かな環境」によって構成された教室である。」佐藤学 総合教育技術2019年6月号

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ハノイ 2018年3月