退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

非認知能力を育み、格差に挑む

「私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み、格差に挑む」ポール・タフ

貧困や格差が是正されていないこと、広がっているかもしれないことは、私も感じています。
毎日、多くの学校を訪問する中で、家庭環境に課題がある子、無気力な子、学校へ来ても全く勉強しようとしない子をたくさん見聞きします。
その子たちが将来、仕事に就くことができなかったり、犯罪に手を染めたり、薬物に溺れたりする可能性があることを考えると、何とかしなくてはと思います。
この本を読んで、そのような貧困の連鎖を止め、格差を広がらないようにするためには、やはり教育の果たす役割が大きいことを強く感じました。

非認知能力(ひとつのことに粘り強く取り組む力や、内発的に物事に取り組もうとする意欲など)を育むには、幼児期の環境が最も大事です。しかし、小学校でもできることはあります。
協働的な学び、深い学び、探求的な学びの試みは現在多くの学校で進んでいます。
「何よりも学びの楽しさを子どもたちに伝えたい」、と強い熱意で取り組んでいる教師がたくさんいます。
テストの成績が良くても、学びに前向きではない、学びの楽しさを知らない、学び続けない子がいます。
一方で、テストの点数は悪くても、学びの楽しさを知っている、ポジティブに学び続ける子がいます。
どちらがこの後伸びるのか、より良い人生を送るのか、この本が示唆しています。
著者の冷静だが熱のこもった文章から大きな力をもらいました。
明日も少しずつですが前進できそうです。

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ニューヨーク 2017年夏