退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

道徳「心の優先席」

1 自分で気づかせること

道徳「心の優先席」を参観しました。導入では優先席の写真を見せて、子どもたちを引きつけ関心を高めていました。「優先席は誰のためにあるの?」と問いかけると、「お腹に赤ちゃんがいる人のためです」「足が不自由な人です」「おじいさん、おばあさんです」と答えていました。「優先席は何のための決まりか」という問題意識を持たせることができました。

授業では、3人の考えについて、まずみんなで確認してから、図に表してその共通点を探るという展開でした。ベン図を中心とした板書は子どもたちの理解を助けたと思います。しかし一方で教師の説明が多くなっていました。教師が読み聞かせた後、詳しい説明はしないで、すぐに3つの意見について考えさせてよかったと思います。意見1は「優先席でない人はゆずらなくていいのか?」、意見2は「近くの人は譲らないといけないのか?」「離れていたら譲らなくていいのか?」、意見3は「ゆずりたいと思わない人は譲らなくてもいいのか?」「ゆずりたいと思う人が誰もいなかったらどうするのか」などの多くの疑問を引き出すこともできます。それらの気づきを交流する中で、「決まりは必要だ」「決まりは守りたい」「決まりはみんなのためにある」「決まりがなくても親切ができる人になりたい」などの多様な考えが出せるようになります。

2 交流では立場を明確にする

考えを交流させるときには、まず自分の立場をはっきりさせることが大切です。立場を決めたら、ノートやワークシートにそれを書きます。黒板に自分のネームプレートを貼ることも効果的です。立場をはっきりさせ、それをオープンにすれば、参加意識が高まります。それを見て、子どもたちは自分の選んだ意見を見直し、他の意見も知りたいと思うようになります。そして、なんとなく選んだけどその根拠が明確になったり、反対にマイナス面に気がついたりします。子どもたちには、「考えは変わっていいんだよ」と伝えておきます。黒板のネームプレートを動かす時間をとることもあります。「はじめは気が付かなかったけれど、みんなと話し合って気づいた。考えが変わった」という感想が出るようになるといいですね。