退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

「戦争は女の顔をしていない」アレクシエーヴィチ著

福岡市は先週金曜日から2学期が始まりました。

私が担当している1年生の教室に行ってみると、いつもすぐに話しかけてくるHくんがいません。

担任に尋ねると、お母さんから「私が妊娠中なので休ませたい」と連絡があったそうです。

他のクラスでも「感染が心配なので欠席します」という子が複数います。

これから、すべての子どもへ「学び」を保障していくため、適切な対応を考えなくてはなりません。

今日は那珂公民館での「子ども英語教室」の予定でしたが、中止しました。

9月も実施は難しいようです。

10月までには状況が改善しているといいのですが。

さて、今回のブログは、「本の紹介」です。

「戦争は女の顔をしていない」アレクシエーヴィチ著

NHKテレビ「100分de名著」、8月は「戦争は女の顔をしていない」。
作者のアレクシエーヴィチがノーベル文学賞を受賞したときのニュースを覚えています。
ノンフィクションの作家が受賞したことが話題になっていました。
この本は第二次世界大戦に動員された女性兵士たちの証言を集めたものです。
為政者や政府高官ではなく、市井の人々の証言から、戦争の本当の姿が伝わってきます。
本当はかわいい服が着たいのに戦場ではそれは無理なこと。
「戦争で一番恐ろしいのは死ではなく男物のパンツをはかされること」の告白が悲しい。
祖国のために戦ってきたのに、彼女たちは戦場から帰ってきてからもひどい差別を受けます。
普通の人々の声を聴き取り、丁寧に紡ぐことで戦争の真実が浮かび上がってきます。
有名な歴史的事象だけでなく、このような「小さな物語」を読むことが歴史認識には必要なことだと思います。

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橙書店 熊本市