「第四次産業革命と教育の未来 ポストコロナ時代のICT教育」(佐藤 学著)を読みました。
新型コロナ感染拡大に対応して、子ども「一人一台端末」が実現しました。
「学びを止めない未来の教室」実現に向けて、学校のICT環境整備は進んでいます。
経済産業省が主導している「未来の教室」とはどんな内容なのでしょうか。
「未来の教室」のICT教育の柱の一つが「学びの自立化・個別最適化」です。
子どもたちに個別の最適な学びを提供できれば素晴らしいように感じます。
しかし、海外では15年前にすでにそれを実施した結果、教育効果が乏しいことが検証されています。
その検証をもとにして、近年では多くのICTプログラムは、「共同学習」と「個別最適化」を組み合わせて実施しているのです。
しかし、「未来の教室」が構想しているのは、諸外国が15年前に導入した「個別最適化」であり、「共同学習」との繋がりはありません。
これは教育よりも経済が優先されたように見えます。
このまま同じ失敗を繰り返すのでしょうか。
「平成」の30年間、日本の外交・経済・社会・教育政策は失敗しました。
1989年から2019年の間、世界196か国のGDPは平均4.0倍に成長しています。
しかし、日本のGDPは1.6倍しか成長していません。
他国のGDP成長率は、韓国は6倍、台湾も6倍、中国は26倍。
私も韓国の学校を視察したときに、教育環境の充実と授業の先進性に驚きました。
公教育と教育産業とIT産業が一体となった「未来の教室」は課題が見えにくくなっています。
これからの30年を再び「失われた30年」としないためにも丁寧な検証と論議が必要だと思います。