退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

岡嶋裕史著「メタバースとは何か ネット上の『もう一つの世界』」 

新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。

先週の水曜日に私が担当しているT小学校の学級閉鎖は10学級でした。

 

 仮想現実の中にしか希望はない? 

 岡嶋裕史著「メタバースとは何か ネット上の『もう一つの世界』」 光文社新書

 

 電子掲示板やSNS、ゲームも一種の仮想世界でしたが、それがもっと高密度、広範囲になったものがメタバースだと考えるとよいと思います。リアルには移動の困難や身体的な限界、資金的な制約など各種のしがらみが存在します。仮想世界であればそれらの軛を解き放ち、もっと楽しくもっと充実した人生を生きられるかもしれません。メタバースはそういう可能性をはらんでいます。だからフェイスブックは社名を書き換えてまで、誰よりも早くここに手を伸ばそうとしています。(本書5ページ「はじめに」より)

 

 先日、新聞でメタバースの体験記事を読みました。記者は仮想世界の中で見知らぬ人と出合い、会話を始めます。そのうちに打ち解けて一緒に大笑い。仮想世界にいることを忘れてしまうほどに。聞けば相手は遠く離れた国からここに参加していることが分かります。何だか楽しそうだと思いませんか。オンライン英会話レッスンの実践編にもなりますね。

 オンライン授業を更に充実させることもできるでしょう。筆者は「セカンドライフ」という仮想世界での授業の実例を紹介していました。ゲームだけでなく、会議、医療、旅行、スポーツなど可能性はどこまでも広がります。これは今後かなりの勢いで活用が増えるとは思いませんか。

 

 健全ではない、と多くの読者は思うかもしれないが、このビジネスはおそらく今後も拡大する。自分と違い過ぎる他者だらけの空間で、四六時中穏やかに過ごすことはなかなか難しい。本当であれば、自分と違う他者を受け入れ、違いを尊ぶべきなのだろうが、違いは不平等に直結する。また、寛容はあらゆる行為の中で最も能力と資質、努力を要求するものでもある。(本書34ページ「プロローグ」より)

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