「運動脳」を読んだ。「これは人生を変える本かもしれない」と思った。
私の知人、教員Aさんは、現在「うつ」に苦しんでいる。
疲れがとれない、眠れない、暗い気分が続く、などのメンタルの不調を訴えている。
「休日は、学校のことを考えないで、自分の好きなことをしてみたら」「規則正しい生活をして、栄養のあるものを食べるようにね」など、会うたびに声をかけているのだが、私にできることは話を聞いてあげることくらいである。
この本では、運動を通して「うつ」が克服できることが、データを基に証明されている。
問題の解決は、実はとても簡単だということが分かった。「運動」である。
「運動」で「うつ」は改善する。これは複数の調査によって明確に証明されている。
米国の臨床心理学者ジェームズ・ブルーメンソールは、156名のうつ病患者を対象に調査を行った。
対象者は3つのグループに分けられた。
1つのグループは抗うつ剤による治療。もう1つは定期的な運動をする。そして、両方を行うグループ。
4か月後の結果では、全てのグループの対象者に改善が見られた。
つまり、運動は抗うつ剤と同程度の効果があったということ。
しかも、もっと驚くことは運動で「うつ」を改善したグループは再発が少ないという事実。
これは製薬会社にとっては「不都合な真実」である。
だから広く一般に知られていないのかもしれない。
私はこの話を信じる。それは、自分自身が毎日運動することで心の安定を実感しているからだ。
今年で65歳。定年後もフルタイムで仕事を続けている。
車は使わない。エレベーターも使わない。できるだけ歩く。
毎日が楽しく、充実していると感じる。それは、体を動かし続けているからだと思う。
だから、アンデシュ・ハンセンさんの主張には強く共感する。
今、教育の現場はひどい状態である。
しなくてはならない仕事は多いのに人手は常に不足している。
不調を訴える教員も多く、休職する人、退職する人も少なくない。
学校が抱えている課題は広く世間に知られるようになってきたが、その改善は遅々として進まない。
だからせめて、自分のメンタルを守る方法を教えたい。
来週、Aさんに会ったら、ぜひこの話を伝えよう。