退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

「映画を早送りで観る人たち」稲田豊史著 光文社新書

「映画を早送りで観る人たち」稲田豊史著 光文社新書

先日、映画「百花」を観ました。監督の川村元気さんは、「近頃は映画を早送りで観る人が多い。だから私は早送りできない映画を作った」と語っていました。この本を読んで、川村監督の思いが何となく分かりました。「映画を早送りで観る」という現象には、人々の心の変化が現れているのです。

 早送りで観るようになった原因の一つは、ネットフリックスやアマゾンプライムなどのサブスクリプション(定額見放題)を利用する人が多くなったことです。観ることができる映画やドラマの数は何千、何万という数になりました。多くの作品を観るためには、時間を短縮しなくてはなりません。安く何回も観ることができるので、一つ一つを大切に観たいと思わなくなったこともあるでしょう。

 友達との会話やSNSの交流で、「話題になっている映画やドラマについてとりあえず情報として知っておきたい」という理由もあるようです。作品を鑑賞するのではなく、コンテンツから情報を得ているのです。

 「早送りで観ても、気に入った作品は、ゆっくりもう一度観ます」と言う人もいます。しかしそれでも気になります。このままでは行間を読んだり、空白の意味を考えたりする力は低下するのではないかと心配になります。

 

韓国ドラマはなぜ面白いのだろう

韓国ドラマが大好きになってしまいました。敬愛する内田樹さんお薦めの「愛の不時着」を観てあまりの面白さに驚き、今は「梨泰院 (イテウォン)クラス」を第4話までみたところです。何でこんなに惹きつけられるのでしょう。まず、物語の面白さがあります。「意外な展開」「次はどうなるのだろう」「この後はこうなってほしい…キター!」という仕掛けがたくさんあるのです。「人の一生って何だろう」「何を大切に生きていけばいいのだろう」という深い問いもちりばめられているところも魅力です。次に韓国の友人にあったときには、聞きたいことがたくさんできました。