退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」坂本龍一 

昨日は、後輩Hさんの教頭昇任祝いをしました。彼は2年前に訪問していた学校の教務主任でした。とてもユニークな人物です。教員になる前は、他業種で働いていたところが私と一緒。もう一つ、ミュージシャン志望だったことも同じだと分かって意気投合しました。よい意味で肩の力が抜けているところがいい感じです。そんな学校をつくって下さい。

坂本龍一の「async」(2017年)は大好きなアルバムです。ニューヨークへ一人で行ったとき、ホテルの窓から夜のビルの灯りを見ながら聴いていたら、時間が止まったように感じました。退職したばかりで、いろいろと心配なこともあったのですが、とりあえずこのまま前に進めると感じることができました。

 

この本では、坂本さんが自分の作品や友人、家族について語っています。音楽家、画家、映画監督など、多くの人たちと交流。作品制作の過程、食べ物や住まいなどプライベートな生活の様子、ガンとの戦い。誰とどんな話をしたのか、詳細が分かります。読み終わって、これは一人一人への別れの挨拶だなと気づきました。

 

印象に残ったのは、美智子さまとの対面です。坂本さんはガチガチに緊張して質問に答えています。天皇制には批判的なのに、いざその場に立つと違う自分が表れたのです。リベラルなはずの自分の中に戦争へ行った父の心が残っていたと打ち明けています。

 

これからも私たちは坂本さんの音楽を聴き、本を読むことができます。世界中の多くの人の心の中に坂本龍一は生き続けるでしょう。