退職教員の実践アウトプット生活

教育、読書、映画、音楽の日々雑感

ポリフォニーを志向する研究書

村上春樹研究 サンプリング、翻訳、アダプテーション、批評、研究の世界文学」(横道誠著)を読みました。村上春樹をめぐる批評について私が読んできたものを振り返ると、1980年代には川本三郎さんの本を愛読していました。川本さんの「同時代を生きる『気分』」は内容を覚えるくらい読みました。その後は、加藤典洋さん、内田樹さんが私の村上作品への案内人でした。

 

大江健三郎筒井康隆も私は好きです。しかし、村上作品への影響については、それほど大きいとは考えていませんでした。横道さんの研究を読んで、バラバラだったパズルが整って形が見えてきました。そもそも、村上さんは「日本の小説はあまり読みません」と答えていたので、私はそれをすっかり信じていました。「フィッツジェラルド、チャンドラー、カポーティの影響が大きい」という本人の言葉が強く印象に残っていたからです。これは村上さんにとっての「生きのびるための事務」だったのでしょう。もちろん私は「だまされた」と腹を立てているわけではありません。「うまいなあ」と感心しているのです。

面白い本を紹介してもらいました。Country Teacherさん、ありがとうございます。

www.countryteacher.tokyo